医療者から見た地域医療のいま
いすみ市が存続していくために医療費を抑える
糖尿病予防事業について、市長に聞く
2011.11.02 文/梅方久仁子 写真/中西 昭
いすみ市長 太田 洋 氏
いすみ市では、平成23年度から400万円の予算を計上して糖尿病予防事業をスタートさせた。糖尿病予防が今なぜ必要なのか、どうやって予防していくのか、太田洋いすみ市長に話をうかがった。
医療関連予算を
10%以内に収めたい
いすみ市では平成23年度から糖尿病対策の事業を始めました。この事業の目的は、どういうところにあるのでしょう?
太田 まずは、医療費を抑制して市の財政負担を軽くしたいということです。同時に市民の税負担を少なくして、住みやすい市にしたいという思いもあります。
私は50歳まで千葉県庁に勤めていましたが、最後の2年間は衛生部にいました。いろいろな医師と巡り会って話すうちに、これからは医療費を抑えないと市民の負担が大変なことになると分かってきました。それで、もしこのような立場になったら糖尿病に着目して対策を行おうと、平成10年頃から考えていたのです。
いま、この地域は少子高齢化が進んで人口が減少してきています。将来的に税収が増えることは期待できませんが、医療と福祉への支出は、年々増加しています。いすみ市があと何十年も存続していくことを考えると、出費を減らすしかありません。
現在、いすみ市の財政から国民健康保険に1年間で約1億2千万円を支出しています。また、地域の中核病院であるいすみ医療センターには約4億円を支出しています。いすみ市の税収は42億円ですが、その中のあわせて約5億円が医療関連に使われています。私は、税収の10%を医療関連に使いたいと議会で言っていますが、すでに10%を超えてしまっている状態です。ですから、市の財政から国民健康保険に支出する費用を何とか減らしたいんです。