医療者から見た地域医療のいま
都心とは違う地元密着型の公立病院として
新たな地域医療のあり方を探る
2011. 9. 30 文/大森勇輝
センターの役割について具体的に教えてください。
氏原 地域連携室では、文字通り地域の開業医などとの連携を進めており、早い段階から「オープンシステム」を導入しています。オープンシステムとは、地元の医師に病院の施設・設備を開放すること。例えば、地元のクリニックで診ていた患者さんが、当院に入院して手術するということになったら、その患者さんのかかりつけ医にも、時間が空いているとき、あるいは診療時間終了後などに来院してもらい、経過を見てもらうわけです。これにより患者さんは、入院前、入院中、そして退院後と一貫した医療行為を受けられるようになります。
訪問看護、医療相談に関しては、どのようなことを行っていますか?
氏原 もともと訪問看護には力を入れてきましたが、さらに、在宅を含めた緩和ケアのネットワーク作りにより重点を置くため、昨年から緩和医療の医師を招へいしました。現在、訪問看護の患者数は30人ほどおります。また、当院の患者さんはやはりがん患者が多く、3人に1人ほど。そこで、がん末期などの患者さんが、最後の看取りの数日間を家族と一緒に安心して過ごせるよう、患者さんの家族が共用で使用できるキッチンとお風呂を病棟に備えてあります。医療相談に関しては、医療と銘打ってはいますが、日常生活も含めて何でも相談にのる、いわばよろず相談ですね。
この地域では、いわゆる「コンビニ受診」の問題などは起こっているのでしょうか?
氏原 最近は少なくなりましたけど、救急車をタクシー代わりにという方もいるにはいますね。ほんのちょっとしたケガや体調不良で救急車を呼んだり、夜間救急に来たりとか。年齢でいうと40、50代が多いでしょうか。ただ、一時期に比べたら数は減っています。