地域医療ニュース

「脳トレ」の川島隆太教授を迎えて
茂原市で健康フォーラム2013が開催

2013. 09.19   文/梅方久仁子

作動記憶を鍛えれば、前頭前野の働きがよくなる

 では、どうすれば前頭前野の働きがよくなるか。

 一般的に若い人に比べて高齢者の脳は縮んでいくが、人によって大きな差がある。調べると、肥満の人、お酒を飲む人、タバコを吸う人、高血圧の人などは、脳が縮む。逆に知的好奇心が高い人は、比較的脳の細胞が健康だ。

 でも、生活習慣は簡単には変えられない。積極的に脳を鍛える方法はないかと考えて、「作動記憶」に注目した。作動記憶とは、頭の中にしまった情報を処理して利用するときに使う記憶力だ。例えば、人は話を聞くときに全力でこの作動記憶を使っている。耳で聞いた音をいったん順番通りに作動記憶の上にしまって、その情報と過去の情報を照合して、その音がどういう意味かを判断する。このような作業を作動記憶の上で行っている。

 作動記憶を鍛えて記憶容量が増えると、たくさんの情報を頭の中に書き留めたまま行動できる。だから、作動記憶の容量が大きいと、行動中に何かが思いがけないことが起こっても、すんなり処理できる。つまり、作動記憶のトレーニングをすると、記憶力だけではなくて、それ以外の脳の働きも上がる。特に前頭前野の働きが上がりやすい。

作動記憶のトレーニングをすると、記憶力だけではなくて、それ以外の脳の働きも上がる。(クリックすると拡大します)