地域医療ニュース

茂原市で地域医療フォーラム・住民対話集会
「子どもの救急と地域の医療を考える ~長生郡市の医療をみんなで守る~」を開催

2013. 06.24   文/梅方久仁子

この地域の住みやすさが医師確保の鍵

 次に事前アンケートから、「大病院はなぜ混むのだろう」という問いに、清水医師より「紹介を受けずに大病院に行く患者さんが一因ではないか」と回答があった。また、宍倉氏より「イギリスでは大病院に行くには家庭医の紹介が必要だ。紹介を受けても、命に別状がなければ、大病院の診察を何週間も待つ。日本では、行けばその日のうちに診てもらえるが、混雑する。アメリカは、いつでもどこでも診てもらえるが、高いお金がかかる」と、海外との比較が紹介された。さらに宍倉氏は「最初にかかりつけ医に詳しく調べてもらってから紹介状をもらえば、大学病院で調べる時間を減らせる」と説明した。

 会場から「医師不足になると、実際にはどういう問題があるのか」と質問があり、清水氏から「開業医が混雑し、診察に夜までかかることがある」、宍倉氏から「休日で当番医1人のときに重症患者が重なると、他に行ってもらうしかない。圏外搬送が多いのは、そういう事情もある」と説明があった。

 また、会場から「長時間待つ場合でも、どのくらい待つのか教えてもらうだけで、感覚が違う。サービス業のレストランでやっていることが、医療機関ではできていないのでは」と指摘があった。宍倉氏から、「一般診療では予約制のところが増え、時代は変わってきている」と回答があった。また、「医療機関はサービス業か」という高貫氏の問いには、宍倉氏から「私はサービス業と思うが、そう思っていない医師もいる。『診てあげる』という上から目線はよくないと思う」と意見が述べられた。

 最後に、「医師にこの地域に多く来てもらうにはどうすればよいか」というテーマには、清水氏は「この地域が住みやすければ、医師は定着する。住民と友達づきあいできるような雰囲気がいいと思う」、宍倉氏は「金銭よりも、この地域に住んで良かったと思えることが重要。ここにいる子どもたちの1人でも、医師や看護師になってこの地域に戻ってきたいと思える地域にすることだ」と述べた。

 最後に進行役の高貫氏が、「住民が地域の医療について日ごろから問題意識を持ち、『自分のこと』として考えていくことが一番大事だ」と感想を述べ、地域医療を考える住民対話集会は閉幕した。

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