地域医療ニュース

医療と福祉の連携を市民の視点で考える
地域シンポジウムが東金市で開催

2013. 06.03   文/大森勇輝

福祉の現場と薬剤師からの発言

さんぶエリアネット所長 吉井 稔 氏
片貝薬局 富田 勲 氏

 休憩を挟んで、「がんや糖尿病などの病気を抱えて、住み慣れた地域で過ごせるように」というパネルディスカッションに移った。それに先立ち、パネリストが発表を行った。最初に登壇したのが、中核地域生活支援センター「さんぶエリアネット」の所長である吉井稔氏。さんぶエリアネットとは、福祉の総合相談などに365日24時間体制で応じる施設のこと。病気の治療を受けづらい人に対して、通院、治療の相談に乗ったり、あるいは生活環境の改善や様々な制度の活用、さらに行政との橋渡しをしたりするのが主な業務だ。

 吉井氏によると、山武地域の医療と福祉サービスに関し、とりわけ在宅・地域単位のサービスがぜい弱だという。そこで、現在医療と福祉をつなげようと、座談会などを定期的に開催。地域の患者やその家族が抱えている問題は、身体的なものから金銭的なものなど多岐にわたるので、一個人、一機関でやれることには限界がある。だからこそ、福祉と医療、行政などがチームを組んで多方面から支援を行い生活の質の向上を図るべきだとした。

 続いて、もう一人のパネリストである片貝薬局の富田勲氏が、「薬局・薬剤師の役割」と題した報告を行った。富田氏は、薬局の役割として、処方せん調剤など業務はもとより、在宅患者を訪問し服薬指導をすること、また、病院などに行く前に病気のよろず相談に乗ることの大切さを指摘。実際に、寝たきり患者やがん患者、独居・老老介護者などの家庭を訪問し、薬や病気の相談に乗っているという。そして、総合的多職種連携の中で、薬剤師こそが医療、在宅をつなぐ役割を果たしていくべきだと述べた。