地域医療ニュース

「これからの医療について」をテーマに
茂原市で健康フォーラムを開催

2012. 08. 03   文/梅方久仁子

重傷者のために
救急車の適正利用を

 第1部の最初は、救急搬送の現場を担う立場から、長生郡市広域市町村圏組合消防本部警防課長・村松仁氏による講演だ。「救急の現場から」と題して、救急搬送の現状や今後の予定について紹介があった。

 平成14年に6000件、平成17年に7000件だった救急出動件数は昨年8000件を超え、増加を続けている。救急搬送される人を年齢別に見ると、圧倒的に高齢者が多いという結果が出ていると指摘した。昨年の出動の内容は、入院を必要としない軽症が3512人で、中等症が2891人だった。軽症での救急車の利用が増えると、本当に救急車を必要とする重症患者が発生したときに対応が遅れる原因になる。村松課長は「緊急を要する方のために、救急車の適正利用をお願いします」と訴えた。

救急で搬送される人を年齢別に見ると、この地域では圧倒的に高齢者が多い

 次に、最近実施されている「PA連携」についての説明。PA連携とは消防車(pumper)の「P」と救急車(ambulance)の「A」をとった呼び名で、救急出動の要請に、救急車と同時に消防車が出動してサポートすることだ。消防車が出動するのは、早期の救急手当てが必要と判断されたとき、傷病者が2階以上にいて搬送が困難なとき、交通量が多い道路での救命活動やドクターヘリの着陸に際して、現場の安全確保に協力するときなどだそうだ。

 最後に119番通報の受信システムについての解説があった。長生郡・茂原市の119番通報は、平成25年4月からは千葉市の共同指令センターで受信するようになる。共同指令センター方式を取ることで、経費の削減、高機能機器の導入、119番受信能力の向上、大規模災害時の広域連携が容易になるなど利点が多いという。システムが変わっても通報方法には変わりはなく、出動も今まで通り地域の消防署からとのことだ。