地域医療ニュース

医療連携の強化を図るツール
「地域医療連携パス」に関するシンポジウムを開催

2012. 07. 27   文/大森勇輝

中村文隆氏
中村文隆氏

 代わって壇上に立ったのは、急性心筋梗塞部会ワーキンググループ座長で帝京大学ちば総合医療センターの中村文隆氏である。話はまず、急性心筋梗塞とはどのような病気かというところからスタートし、次に連携パス普及によるメリットについて発表した。

 連携パスが普及すると、患者、かかりつけ医、病院勤務医それぞれが、以下のようなメリットを得られるという。

■患者
・医療機関が容易に患者の情報を把握できるようになるため、病院での待ち時間が短縮できる
・今後の診療の流れが理解できる など

■かかりつけ医
・連携先病院を確保できる
・基幹病院と日常的に接点を持つことにより、最新の医療技術が獲得できる
・基幹病院などから逆紹介患者を確保できる など

■病院勤務医
・退院後の患者の状況を把握できる
・治療の効率化により外来に余裕が生まれる など

 ただし、現状は、患者の連携パスに対する認知度が低く、かつ急性期病院での使用実績が少ない。さらに診療報酬として認められていないこともネックだと指摘。そうした問題をクリアするためには、連携パスの普及率向上を図る必要があり、まずは連携パスのメリットを発信し参加者を増やしていくこと、そして、連携ネットワーク体制を構築し、疾病管理、重症化予防、発症予防プログラムを実施することが目標だと述べた。

急性心筋梗塞地域連携パスの現状と対応策を指摘