地域医療ニュース
医療連携の強化を図るツール
「地域医療連携パス」に関するシンポジウムを開催
2012. 07. 27 文/大森勇輝
医療機関の役割分担と連携を進めるツールとして「千葉県共用地域医療連携パス(以下、連携パス)」がある。この連携パスのあり方、今後について議論するシンポジウムが3月に開催された。その様子をリポートする。
シンポジウムの正式名称は「千葉県・県医師会・関係医療機関の協働による千葉県共用地域医療連携パスに関するシンポジウム」で、3月1日、千葉みなと駅前のホテルポートプラザちばで開かれた。当日、会場は参加者でほぼ満員になり、連携パスに対する関心の高さをうかがわせた。
まず、千葉県医師会の藤森宗徳会長(当時)のあいさつでスタート。続いて、千葉県庁の石出広氏が、行政の立場から千葉県の医療の現状を概括した。
それによると、千葉県の年間死亡者数は約4万8000人(平成21年)だが、25年後には約8万6000人になるという。また現在、死亡者のうち病院で亡くなる人の割合は78.5パーセントで、自宅で亡くなる人は14パーセントにすぎない。さらに先述の通り、死亡者が増えていく一方で病院の病床数はそれに見合うほどは増加しないため、病院で看取れない人々が数多く出てくる。そのギャップの解決が、今後の千葉県の医療において大きな課題だと語った。
こうした問題をきちんと認識したうえで、現在進めるべきことは地域における医療連携の強化である。そのためのツールである連携パスの役割についての発表が続く。