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2019.08.07

脳神経の病気「前頭側頭型認知症」

前頭側頭型認知症とは

前頭側頭型認知症は「神経変性」による認知症の一種。脳の一部の前頭葉や側頭葉前方に委縮がみられ、ほかの認知症には見られにくい特徴的な症状があらわれます。脳の中でも、前頭葉は人格、社会性、言語、側頭葉は記憶、聴覚、言語をつかさどっているため、発症するとこれらが正常に機能しなくなり、社会性の欠如や自己抑制、同じ行動の繰り返し、自発性の言葉の低下などの症状がみられるようになります。原因は不明ですが、研究によって神経細胞の中にあるたんぱく質が関与していることがわかっています。また、ピック球と呼ばれる神経細胞の一種がみられるものを「ピック病」と呼び、前頭側頭葉認知症の一つとされています。

前頭側頭型認知症の症状

前頭側頭型認知症になると、主に人格や性格が極端に変わってしまうといった症状が見られます。常識からはずれるような性格・行動のパターンがみられ、その場とは関係ないフレーズが繰り返し出てきたり、単語がなかなか出てこない失語症の症状が発症することがあります。

初期は、毎日決まった時間に決まった行為をすることへのこだわりや、周囲への配慮に欠けた行動が多くみられます。またそれを制止されると、興奮したり暴力をふるうこともあります。病気が進行すると、意欲や活動性の低下が強くなり、初期の頃にみられていた配慮に欠けた行動や興奮、暴力行為などは逆に目立たなくなっていきます。同じ行為の繰り返しも、複雑な行動は減り、単純な行動が残ります。さらに進行すると言葉を発しなくなり、椅子に座ったり、ベツドに寝たままで何もしなくなります。

■前頭側頭型認知症の経過

【軽度】
・愛情、親近感が低下する
・日常生活の動作は以前と変わらない
・手紙やメールのやり取りができなくなる
・金銭管理が計画的にできなくなる
【中等症】
・なじみのない場所では困惑する
・興奮したり落ち着きのない行動をとる
・甘いものを好むなどの嗜好が変化する
・協調性が乏しくなる
・日にちがわからなくなる
・同じものを食べ続ける
・衝動的な行動をとる
・季節にあった服を選択できなくなる
・自動車運転ができなくなる
・普段の家事をしなくなる
・電話がかけられない
・料理ができなくなる
【重症】
・食事のマナーが悪くなる
・用意されないと食事をしなくなる
・正しい薬の量がわからなくなる
・現金での支払いができなくなる
【高度重症】
・一人で留守番ができなくなる
・はしやスプーン、フォークなどをうまく使えなくなる
・尿失禁
【終末】
・寝たきり状態となる

前頭側頭型認知症の治療

前頭側頭型認知症を完全に治したり、進行を止める薬はありません。社会生活上、迷惑となるような行動がみられた場合、生活環境を調整したり、場合によっては短期入院を行うことによって、その行動をより許容できる行動にかえられることがあります。前頭側頭型認知症の特徴的な症状に対しては、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われています。家族だけではケアが難しい病気のため、症状がみられる場合はかかりつけ医に相談してみましょう。

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