健康トピックス

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2019.02.21

脳の知能障害「認知症」

認知症とは

脳は、私たちのほとんどの活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなれければ、精神活動も身体活動もスムーズに運びません。認知症は、さまざまな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために脳にさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。

アルツハイマー病に代表される認知症の最初期は、記憶に限定した認知障害を認める時期です。生活面では、いいたい言葉が出てこない、やる気がないといった問題、あるいは、仕事や家事における慎重さや注意不足が指摘されがちになります。次第に記憶障害が明らかになり、過去の記憶は保たれているのに、新たに何かを覚えることができなくなります。また、他人の言うことを理解するのが難しくなったり、会話の内容が空虚になりがちです。さらに、妄想、焦燥、不穏、うつなどの症状が徐々にあらわれることもあります。また日常生活上の機能、たとえば運転、買い物、食事の支度などにおける障害が着実に進行します。

症状が重度になる頃には、身体面ではどんどん痩せていき、失禁をするようになり、運動機能にも支障をきたします。嚥下性肺炎や尿路感染に由来する敗血症などさまざまな病気にかかりやすくなります。

認知症の症状

どの認知症にも共通する症状は、中心的な記憶などの認知機能障害と、行動・精神症状の2つです。認知機能障害の場合は、新しい情報を学習したり、以前学習した情報を思いだしたりする能力の障害が基本になります。さらに、失語、失行、失認、実行機能の障害なども現れます。

・記憶面
記憶力の中でもとくに短期機能障害、たとえば「ついさっきのことが思い出せない」などが目立つようになります。また、身近にすでにあるものを繰り返し買ってしまうような行動もみられます。
・失語、失行、失認
言葉の理解ができなかったり、しゃべりたい言葉をしゃべれなかったりする「失語」障害があらわれます。また、運動機能に障害がないのに、意味のある動作ができない「失行」、さらに感覚に関した機能は損なわれていないのに、方向感覚や対象を正しく認知・認識できない状態になる「失認」の症状もみられます。
・実行機能障害
「実行機能」とは、いわゆる「段取り能力」のことです。計画をして準備をし、それを首尾よくこなしていく能力がそこなわれます。典型例としては、料理のレパートリーが減り、限られたメニューを繰り返しつくる傾向がみられます。
・認知症の精神症状・行動異常
認知症によって、暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などの症状もあらわれます。たとえば、レビー小体型認知症では、特徴的な幻視や寝ぼけ症状、ピック病なら万引きなどの反社会的な行動を起こすこともあります。

認知症の治療と予防法

現時点での認知症の治療薬とは、基本的にアルツハイマー病に対するものです。なお、脳血管障害の治療薬は多いのですが、脳血管性認知症自体を対象にする薬剤はありません。

認知症を根治できる薬物療法が存在しない現状では、効果的な非薬物療法により薬物療法を補って治療効果を高める必要があります。認知症への心理・社会的な治療アプローチ(非薬物療法)の標的は、認知、刺激、行動、感情、の4つに分類されます。有名な回想法は、認知症患者さんでも比較的保たれている長期記憶を生かせることや、一人ひとりの経験や思いを尊重できることから注目されています。認知症の精神症状・行動異常の中には、対応の仕方で改善できるものもあれば、どうしても薬物に頼らざるをえないものもあります。

忘れてならないのは、デイケアなど各種の非薬物治療も不可欠だということです。これに関しては、日々の介護で心身ともに疲れきっている介護者への介護という視点も大切です。そのためには、介護保険など社会的支援制度の概要を知る必要があります。

認知症、特にアルツハイマー病には、「これをすれば進行が止まる」という妙法はありません。しかし、認知症予防という面において多少とも有効性が実証されている食事と運動があります。

・食事
食事関連で注目されてきたものは、抗酸化物質(ビタミンE、ビタミンC、βカロチン)があります。これらの物質は、酸化による障害から体を守ります。また脂質は、飽和脂肪酸ではなく不飽和脂肪酸が、健康にも認知機能にも良いことが知られています。特に魚の摂取量が多いとアルツハイマー病予防効果をもつとした報告があります。
・運動
運動は、多くの身体疾患に対して効果があることが知られています。中には、身体の活動性が高い長生きできることを報告したものもあります。身体活動が低いことは、アルツはイマー病の危険因子だと指摘されてきました。中年期の活動性の高さは、アルツハイマー病に対して防御的に働くという知見もあります。このような運動が効果をもつメカニズムとしては、直接的には脳血流の増加作用が考えられています。また、神経成長因子への刺激や、脂質、ホルモン、インスリン、あるいは免疫機能を介する作用も想定されています。
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