健康トピックス

医療トピックス

2010.12.10

子どもたちを細菌性髄膜炎から守りましょう!

千葉県医師会健康教育委員会委員 山本重則

予防のためのワクチンが日本でも使えるようになりました

乳幼児は細菌への抵抗力がまだ十分ではないため、時に細菌が脳や脊髄をとりまく体液にまで侵入し強い炎症を起こすことがあります。この細菌性髄膜炎という感染症は、子どもがかかる病気の中でもっとも重いものの1つであり、命を失ったり重篤な後遺症をのこしたりすることが少なくありません。細菌性髄膜炎を起こす細菌はさまざまですが、最も多い原因菌はインフルエンザ菌b型(Hemophilus influenzae type b: Hib、ヒブ)と肺炎球菌で、この2つが大部分を占めています。毎年全国の乳幼児の約600人がヒブ髄膜炎に、約200人が肺炎球菌髄膜炎にかかっています。かかった子どものうち15~20%程度の方が死亡、あるいは重い後遺症(発達遅延、聴覚障害、神経学的障害)を残しています。細菌性髄膜炎の初期には、発熱、嘔吐、不機嫌といった症状のみのことも多く、かぜと区別がつきにくく早期診断がむずかしい場合があります。早期からの抗菌薬治療が必要ですが、ヒブも肺炎球菌も抗菌薬が効きにくい耐性菌が増加していることもあって、診断がついても治療に難渋することもあります。とにかく、細菌性髄膜炎にかからないことが一番で、予防のためのワクチンが開発されて、世界中で使われています。最近ようやく日本でも使えるようになりました。ワクチンで子どもたちを細菌性髄膜炎から守っていきましょう。

ヒブワクチン:標準的な接種時期は、生後2か月より6か月までに1回目を接種し、その後3~8週の間隔、合計3回の接種で初回免疫をおこないます。初回免疫のおおむね1年後にもう一度接種して追加免疫をおこないます。ジフテリア・百日咳・破傷風の三種混合ワクチンとほぼ同じスケジュールです。異なる接種部位に、三種混合ワクチンなど他のワクチンと同時に接種することが可能です。

小児用肺炎球菌ワクチン:肺炎球菌は細菌性髄膜炎だけでなく、他にも菌血症、肺炎、中耳炎などの病気をおこします。菌血症は血液の中に菌が入り込む病気で、放っておくと菌が全身の臓器に広がって敗血症などの重い病気になることがあります。肺炎球菌は最も高い頻度で菌血症をひき起こす細菌です。小児用肺炎球菌ワクチンには、これらの感染症の予防効果も認められています。標準的な接種時期は生後2か月より6か月までに1回目を接種し、その後4~8週の間隔、合計3回の接種で初回免疫をおこないます。12~15か月のときにもう1度接種して追加免疫を行います。このワクチンも他のワクチンと同時に接種することが可能です。

*どちらのワクチンも生後2か月より接種が可能です。生後4か月を過ぎると細菌性髄膜炎にかかるリスクが高くなります。生後2か月になったらワクチンの接種を開始し、3回の初回免疫をなるべく早く終えるようにしましょう。どちらのワクチンも主な副反応は注射部位の発赤やはれなどで、ほとんどの場合は軽くすみます。まだ任意接種であるため有料で、比較的高価です。一部の自治体では助成が開始され、また平成22年度の厚生労働省補正予算で「子宮頸がん等のワクチン接種の促進」に1085億円の予算がつき、「地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン・ヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業に対して、都道府県に基金を設置して財政支援を行う」こととなりました。すべての子どもたちが安心して無料でワクチン接種が受けられる定期接種化の早期の実現が望まれています。

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