2021.09.21
腰椎椎間板ヘルニアとは
ヘルニアとは、臓器や組織の一部が組織の隙間を通って本来あるべき場所ではない部分にはみ出している状態のことです。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨(腰椎)の間にある椎間板が脊柱管にはみ出して神経を圧迫することによって発症します。
症状と原因
腰痛、臀部痛のほか、下肢の痺れ、痛み(坐骨神経痛)などがあります。また、足に力が入りにくい、痛みのために背中が曲がる(疼痛性側弯症)こともあります。腰椎から出ている神経の枝が下肢につながっているので、下肢の症状が出るのです。
加齢などにより椎間板ヘルニアが変性し、脊柱管内に突出して神経を圧迫することによって発症します。中腰等の悪い姿勢、重いものを持ち上げる等の腰に負担のかかる行動、喫煙などが発症の原因となることがあります。
診断と治療
膝を伸ばしたまま下肢全体を挙上する下肢伸展挙上試験(SLR)で、坐骨神経痛の出現の有無を見ます。また、下肢の筋力低下や知覚の低下の有無を確認します。画像診断では、以前は脊髄造影(ミエログラフィー)が行われていましたが、現在ではMRIが多くおこなわれます。そのほか、診断と治療を兼ねて神経根造影・神経根ブロックがおこなわれることもあります。
日本には多くのMRIがあるので、ヘルニアの経時的変化(時間がたつとどうなるのか)が比較的容易に観察できるようになり、はみ出した椎間板が自然に吸収される場合が多いことがわかってきました。治療の原則は腰の負担を減らすために日常生活として安静をとり、コルセットの装着をします。薬剤療法としては消炎鎮痛剤等を服用し、理学療法として骨盤牽引や温熱療法、痛みが落ち着けば体操療法などをします。痛みの強い場合は硬膜外ブロック、神経根ブロックなどもおこなわれます。これらの方法でもよくならない場合、下肢の脱力、排尿障害があるときなどは手術療法がおこなわれる場合があります。