健康トピックス

2019.11.20

尿道の感染症「尿道炎」

尿道炎とは

尿道炎は、膀胱から尿が排出されるまでに通過する「尿道」の感染症です。性行為を介して感染することが多いですが、風邪やインフルエンザなど呼吸器系の炎症や免疫力の低下によって、細菌が尿道口から入って感染する場合もあります。女性は男性に比べて尿道が短いため、尿道口から侵入した細菌が膀胱粘膜に感染し、膀胱炎になることが多く、尿道炎になることは少ないです。男性は前立腺液に殺菌作用があるため膀胱炎は少ないですが、尿道炎や前立腺炎になることがあります。男性が尿道炎の原因となる細菌は、淋菌とクラミジアが多く、淋菌の場合には、排尿時に強い痛みを感じ、尿道から膿が出てきます。淋菌以外が原因細菌となる場合は、尿道に軽度の痛みを感じる程度で、症状は比較的軽いです。ですが症状が軽いからといって軽視をしていると、精巣や前立腺まで感染が広がり、重篤な感染症を引き起こす場合があります。女性の場合は、炎症が子宮や卵管まで広がり、不妊の原因となることもあるため、症状が疑われる場合には、早めに医療機関を受診してください。

尿道炎の症状

尿道炎の症状は、原因菌によって淋菌性尿道炎(淋菌が原因)と非淋菌性尿道炎(クラミジアなど淋菌以外が原因)に分けられます。

淋菌性尿道炎
3~7日ほどの潜伏期間後、尿道口から濃い膿が多量に出て、排尿時に強い痛みを感じます。膿が出るのは、尿道口から侵入した淋菌が尿道の粘膜に感染し、尿道炎を起こしているのが原因です。初期症状としては、尿道のかゆみ(掻痒感)、異物感、尿が出る部分の赤み(外尿道口の発赤)がみられます。
非淋菌性尿道炎
淋菌性尿道炎に比べて症状は比較的軽く、徐々に発症します。1~3週間の潜伏期間後。やや水っぽい薄い膿が少量出て、排尿時に軽い痛みを感じます。

主な治療法と予防法

性習慣の変化によって、性感染症による尿道炎は若年化しています。性行為には、コンドームの装着が予防に不可欠です。尿道炎の治療には抗菌薬を使用します。淋菌とクラミジアでは、使用する抗菌薬の種類が大きく異なります。必ず専門医に診察してもらい、治療を受けるようにしてください。日本でみられる淋菌は、抗菌薬が効きにくいものが増えており、淋菌に強い殺菌力を示す注射薬を1回だけ投与する治療法が進められています。クラミジアの場合は経口の抗菌薬がよく効きますが、7日間内服する必要があります。性感染症としての尿道炎の場合、ピンポン感染(病原菌をうつしたり、うつされたりを繰り返すこと)を防ぐために、パートナーと一緒に検査と治療を受ける必要があります。

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