2018.12.12

風邪とインフルエンザの違い

風邪とインフルエンザは、発熱や咳、喉の腫れなどの諸症状が似ていますが、実際は別のものです。「風邪」は正式な病名ではなく、ウイルスなどのさまざまな病原体が鼻やのどなどに貼り付いて起こる症状の総称を「風邪」と呼んでいます。くしゃみや鼻水、咳、喉の痛みなどのほか、37度から38度前後の熱が出ます。たいていの風邪は3日以内で治まります。
一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することにより発症する病気で、一般的に風邪に比べて症状が重く、感染力が強いため短期間に流行します。高熱や頭痛、関節痛などの強い全身症状が突然あらわれるのが特徴です。インフルエンザの流行中に40度前後の熱が出た場合は、インフルエンザを発症した可能性が高いです。すぐに医師の診察を受けましょう。インフルエンザにかかっていた場合は、周囲の人にうつさないよう、外を出歩かないようにしましょう。
インフルエンザの予防法
インフルエンザの原因であるウイルスは、くしゃみや咳などによる飛沫を吸い込んだ場合や、ウイルスが付着した手で鼻や口などに触れた場合などに感染します。外出時の手洗い・うがいを徹底すること、マスクなどを積極的に着用することで予防につながります。また、バランスの良い食事や睡眠、休養をたっぷりとって、身体を十分に休ませることも大切です。
インフルエンザの予防に最も効果があるのはインフルエンザワクチンの予防接種を受けることです。体内に入ったウイルスは鼻やのどの奥の細胞に侵入し、増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンにはこれを抑える働きはありません。ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛みなどのインフルエンザの症状が起こります。ワクチンには、この感染後の症状の発症を抑える効果が一定程度認められています。通常ワクチンを接種した後、その効果が現れるまでに約2週間かかります。また、予防接種を受けておくことによって、万が一インフルエンザにかかった場合でも、肺炎や脳症などの重い合併症が現れる「重症化」を防ぐことができます。
インフルエンザウイルスは毎年違う型のウイルスが流行するので、毎年接種する必要があります。かかりつけ医などと相談のうえ、必ず予防接種を受けるようにしましょう。
症状 | インフルエンザ | 風邪 |
---|---|---|
初発症状 | 発熱、悪寒、頭痛 | 鼻咽頭の乾燥感およびくしゃみ |
主な症状 | 発熱、筋痛、関節痛 | 鼻汁、鼻閉 |
悪寒 | 高度 | 軽度、きわめて短期 |
熱および熱型 | 38~40℃(3~4日間) | ないか、もしくは微熱 |
全身痛、筋肉痛、関節痛 | 高度 | ほとんどない |
倦怠感 | 高度 | ほとんどない |
鼻汁、鼻閉 | 後期より著しい | 初期より著しい |
咽頭 | 充血およびときに扁桃腫脹 | やや充血 |
合併症 | 気管支炎、インフルエンザ肺炎、細菌性脳炎、脳症 | まれ |
インフルエンザの治療法
インフルエンザウイルスは体内で急激に増殖するので、発症後2日(48時間)以内には治療を受けるようにしましょう。特に小さいお子さんや高齢者は免疫力が弱いため、重症化する場合が少なくありません。肺炎などを併発し、入院が必要になったり、最悪、死に至るケースもあります。また、熱を下げるために乳幼児に市販の解熱剤を服用させ、脳炎などを引き起こしたケースもあります。自分で判断がつかない場合には、すぐに医療機関へ連絡し、医師の診察を受けましょう。
インフルエンザは感染力が強いため、移動の際はマスクを着用しましょう。医療機関を受診した後は、医師の判断に従い、かぜと同様、休養と水分補給をしっかりと取りましょう。少し良くなったからといって外出したり、学校・仕事などへ行くと、前述したとおり周囲の人にウイルスをまき散らす恐れがあります。感染の危険性が無くなるまでは他人との接触を避けるようにしましょう。インフルエンザは「学校感染症第二類」に分類されており、インフルエンザ感染で学校を休んだ場合、登園・登校に際しては医師による「登園(登校)許可書」が必要な場合もあります。詳しくは医師に相談してください。
