2025.11.28
膀胱炎とは

膀胱炎のほとんどを占める急性単純性膀胱炎(急性膀胱炎)の原因は、膀胱への細菌感染で、腸内や肛門周囲に棲んでいる大腸菌などが、外尿道口から尿道をさかのぼって膀胱内に入り込むことで、膀胱の粘膜が炎症を起こします。10~50歳代の女性に非常に多い疾患です。
症状としては、排尿痛(おしっこする時に痛みを感じる)、頻尿(おしっこの回数が多く、一回の排尿量は少ない)、残尿感(おしっこをした後でもすぐにトイレへ行きたくなる)、下腹部不快感、血尿(おしっこがピンク色をしている)、膿尿(おしっこが濁って匂いがきつい)などで、一般的には発熱を伴いません。
膀胱炎の治療
単純性膀胱炎の場合、抗生物質を3~5日間程度服用すれば治癒します。
近年は、耐性菌(色々な薬に抵抗性を獲得し、一般的な抗生物質では効かない細菌)による膀胱炎も増加傾向ですので、膀胱炎を繰り返す方は泌尿器科専門医への受診をお勧めします。
腎盂腎炎とは

腎臓とは、背中の真ん中あたりに左右一つずつ存在する臓器で、全身の血液を集めて血液中にある老廃物や尿毒症物質を除去し、余分な水分とともに尿を作る働きをしています。腎臓で作られた尿を集めて尿管へ送る部分を腎盂と呼び、その腎臓で細菌が増殖し、炎症が起こることを腎盂腎炎といいます。腎盂腎炎は、腎臓で作られた尿が最初に尿路へ出てくる場所に、細菌による感染が生ずる疾患です。膀胱炎で汚染された感染尿が尿管を逆流して発症する上行性感染と他の感染部位から血液によって細菌が運ばれる血行性感染がありますが、多くの場合は前者のため膀胱炎を同時に合併していることが少なくありません。
症状としては、寒気や震えを伴う38℃以上の高熱、腰痛や背部痛のほか、頻尿や残尿感といった膀胱炎と同じ症状が見られます。
また、腎瘢痕(腎臓の傷痕)を生じることがあり、有熱期間が長く、再発が多いほど、そのリスクは上がります。そのため、腎尿路異常の評価を行うとともに、再発を予防する必要があります。感染予防はもちろん、繰り返す場合は腎瘢痕ができていないか、エコー検査や、膀胱尿管逆流症がないか、泌尿器科学的検査が重要です。
腎盂腎炎の治療
原因によって異なりますが、一般的には抗生物質を使用します。
また、炎症が腎臓の中まで至ると膿腎症(腎臓そのものが膿だらけになってしまう)や敗血症(細菌が血流に乗って腎臓から他の臓器へ移動し、全身感染症に陥ってしまう)を引き起こすこともありますので、早期受診・早期診断・早期治療が最も大切です。
膀胱炎と腎盂腎炎の予防
膀胱炎と腎盂腎炎を予防するために、以下のことを心がけましょう。
・尿をしたいと感じたら早めにトイレに行くなど、排尿を我慢しない
・水分、お茶などをできるだけ飲むように心がける
女性の場合は、以下のことにも気を付けましょう。
・外陰部を清潔に保つ(特に生理時)
・排尿後や排便後は、トイレットペーパーは前から後ろに拭くようにする
※ウォシュレットを使用する際、排便後はトイレットペーパーを使って前から後ろに拭いた後で、排尿後はビデのごく弱い水流で周囲を洗うようにし、尿が出る場所(尿道口)を狙って尿道の中まで洗うような使い方は絶対にやめましょう。
・性行為の後はできるだけ早めに排尿する











