2018.11.14
脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症は、背骨の中の神経の通り道「脊柱管」が、首や腰の部分で狭くなり、中を通る神経が圧迫されてしびれや痛みが起こる病気です。主に、腰椎のみが狭くなる「腰部脊柱管狭窄症」と、頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたり脊柱管が狭くなる難病「広範脊柱管狭窄症」があります。この病気は、厚労省の特定疾患(難病)に指定されています。
腰部脊柱管狭窄症になると、長距離を歩くことで腰痛や脚のしびれ、痛みなどの症状が起こります。少し休むと再び歩けるようになりますが、歩くたびに歩行と休息を繰り返す間欠性跛行(かんけつせいはこう)になります。いっぽう、広範脊柱管狭窄症にかかると、手のしびれや使いにくさ、下肢のしびれやつっぱり、歩行障害など、手足にさまざまな神経症状が起きます。
脊柱管狭窄症は、加齢により背骨が変形したり、労働あるいは背骨の病気によって変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより神経が圧迫され、血流が低下して発症します。60歳以上に発症しやすく、進行すると下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出が悪くなったり、逆に尿漏れになる場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症の予防と治療法
腰部脊柱管狭窄症の予防には、日常生活で姿勢を正しく保つことが大切です。神経の圧迫は、腰をまっすぐ伸ばして立つと強くなり、前かがみになるとやわらぎます。腰部脊柱管狭窄症が起こった場合には、歩く時に杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがめるようにしましょう。治療法としては、リハビリ、コルセット、神経ブロックや脊椎の神経の血行を良くする薬などがあります。しかし歩行障害が進行し、日常生活に支障が出る場合には、手術を行うこともあります。内視鏡を使用した低侵襲手術も行われていますので、かかりつけ医とよく相談して治療を行いましょう。
広範脊柱管狭窄症の治療法
重度の広範脊柱管狭窄症の場合、手術を行いますが、時期を失うと手術を行っても十分な改善が得られないことがあります。また大きな外傷で麻痺になった方も同様です。一般的に、手や足に痛み、あるいはしびれが存在する場合は、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。そのため、保存療法を受けながら経過を観察します。しかし、手足の力が落ちて日常生活に支障をきたす場合は、手術を行わないと症状の改善が難しくなります。
症状の変化には十分留意し、手足のしびれ、動きの悪化、感覚障害や、排尿排便の問題が出てきたら、必ずかかりつけ医に相談しましょう。