健康トピックス

2017.01.24

「腱鞘炎」は早期に正しい治療を行いましょう

腱鞘炎とは

腱鞘炎(けんしょうえん)とは、病名の通り腱鞘(けんしょう)という組織が炎症を起こしてしまう症状のことを指します。
手足や指の関節を動かしている筋肉の両端には、腱というひも状の組織があります。腱は筋肉の力を手足の先端まで伝える重要な役割を担っています。そして、この腱を鞘(さや)のように包み込み保護しているのが腱鞘です。
手足や指の関節を動かすと、骨と腱が動くのと一緒に腱鞘も動きます。その際に、腱鞘の滑りが悪くなっていたり、摩擦を起こしてしまったりすると腱鞘炎を引き起こしてしまいます。

腱鞘炎の症状

腱鞘炎は、関節への負荷がかかり過ぎることが最大の原因とされています。
そして、指が曲げづらいなどの関節のちょっとした違和感が初期症状として現れます。いつか治るだろうという安易な考えで放置してしまうと、重症化してしまい慢性的疾患に発展してしまうケースもあるので注意が必要です。
まず、症状の特徴としては次のようなものが挙げられます。

腱鞘炎の主な症状
・ 発症した箇所を動かす、触れると痛む
  (初期症状の際は瞬間的な不快な痛みですが、中期症状以降は引きつるような強い痛みへと変化します)
・ 発症した箇所が腫れる
・ 起床時に炎症患部が不自然に曲がった状態になっていて動かしづらい       など

このような症状を引き起こす腱鞘炎は、大きく分けて4種類の疾患に分けられます。

腱鞘炎の主な疾患 症状
化膿性腱鞘炎 指の怪我などによりブドウ菌などの細菌が体内に侵入してしまい、腱や腱鞘に沿って炎症が広がっていく症状。
アキレス腱炎症 激しいスポーツや慢性的なアキレス腱へのストレスによって、アキレス腱やその周囲に炎症が生じる症状。
バネ指 指の使いすぎなどにより指の腱や腱鞘に炎症が生じ、指の付け根に痛みや腫れが現れる症状。
狭窄性腱鞘炎 手首の親指側には2本の腱があります。その親指側にある腱鞘とそこを通過する腱に炎症が生じる症状。最も一般的な腱鞘炎です。

腱鞘炎の治療方法

腱鞘炎は、患部を安静にすることがとても重要です。腱は自身の再生能力を持たないと考えられており、炎症が生じている患部を休養させ、炎症がひくのを待つことが治療において大切とされています。そのために、ギブスなどを当て、患部を固定するといった方法もあります。

初期症状であれば患部を氷で冷やすことが効果的です。凍傷を防ぐために、タオルなどに包んで患部に当てます。また慢性的な腱鞘炎の場合は、患部を温めるという方法もあります。温めることで血行が良くなり、痛みを発症させない効果があるとされます。さらに、ストレッチや湿布薬の使用も場合によっては有効的です。

この他に、局所麻酔剤を混ぜたステロイド剤を注射する治療法もあります。これは、劇的な効果があるとされていますが、糖尿病患者や薬剤アレルギーがある患者には使用ができません。そして、このような方法でも治らずに日常生活に支障をきたすような場合は、手術を行うケースもあります。

いずれにしても、上記に挙げた治療法は、誤った方法で用いてしまうと腱鞘炎をさらに悪化させてしまいます。まずはかかりつけ医にしっかりと相談したうえで、正しい治療を行いましょう。

腱鞘炎は、治療を進めると炎症がひき、痛みが軽減していきます。このタイミングで完治したと勘違いし、発症した箇所を以前と同じように動かしてしまうと、それが原因で再発をしてしまうことがあります。その際に「多少痛むが動かすことに支障はない」と誤った判断をしてしまい、さらに患部にストレスを与えることで、重症化してしまうというケースもあります。

再発を繰り返すと腱鞘炎は慢性的疾患となり、日常生活にも悪影響を及ぼす恐れがあります。そのようにならないためにも、初期症状に気づいた時点ですぐにかかりつけ医に相談し、早期治療を行いましょう。

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