健康トピックス

2024.10.31

5歳を過ぎても治らないおもらし「夜尿症」かも

夜尿症とは

5歳を過ぎても3カ月以上の期間にわたって、月に1回以上睡眠中に無意識に排尿が起こる状態を夜尿症といいます。頻度は毎日から1週間に1回以下までさまざまで、程度も、パンツが濡れる程度からシーツまで濡れてしまうレベルまでさまざまです。

主な原因としては、夜間の尿量が多い、夜間の膀胱容量が少ない、睡眠が深いため尿意に気づかず目が覚めにくい、という3つが挙げられ、それぞれ膀胱機能の状態やホルモンの分泌量などが関係しています。

小学校入学前の子どもの約10%にみられるといわれており、決して珍しくはありません。通常は成長し、脳と膀胱の成熟にともなって改善していきますが、半年以上みられなかった夜尿が再び発現したり、昼間にも尿失禁がみられたりする場合は、何らかの他の疾患が原因となっていることがあるので、早めに医療機関を受診することが大切です。

夜尿症の治療

夜尿症の治療には、大別して以下のようなものがあります。

生活指導
水分の摂取は日中に行うことを意識し、夕食時から寝るまではコップ1杯(200cc)程度までの摂取にとどめましょう。朝食と昼食はしっかりと食べ、夕食は少し控えめにして早めにとり、夕食後から寝るまでは、可能なら2~3時間あけましょう。寝る前にトイレに行く習慣をつけ、夜中に無理にトイレに起こさないようにしましょう。また便秘は膀胱容量を小さくする原因となることがあるので、食物繊維を多く含む食事をとるよう心がけてください。
アラーム療法
パンツの中にセンサーがついた小さな機械をセットして、尿でパンツが濡れるとアラームが鳴って子どもを起こすという仕組みのものです。アラームで起きることを繰り返すと、次第に膀胱容量が増え、夜尿を改善できるといわれています。アラーム療法は毎日実践することになるので、本人の意欲と家族の協力が必要です。
薬物療法
代表的薬剤として抗利尿ホルモン剤(内服か鼻へのスプレー)、抗コリン薬などがあります。
抗利尿ホルモン剤 腎臓による水の再吸収を促進して尿を濃縮し、尿量を減らします。ただし、投与中に多めに水分をとってしまうと、水中毒(過剰な水分が体にたまること)をおこすことがあるため、投与の2~3時間前から翌朝までの飲水は、コップ1杯以内に制限する必要があります。
抗コリン薬 膀胱の収縮を抑制し、膀胱容量を増加させます。ただし、夜尿症の薬物療法としては抗利尿ホルモン剤が第一選択薬とされています。

夜尿症は子どもの自尊心の低下させたり、学校生活や友人関係に影響を与える場合があります。また保護者も子どもを何度も叱ってしまい、その後悔から自身の自尊感情が低下するということもあります。

夜尿症は適切な生活改善や治療で、治癒率を高め、夜尿がみられなくなるまでの期間を短縮することができるといわれています。本人や保護者が悩んでいる場合は、年齢や程度にかかわらずかかりつけ医に相談しましょう。

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