2024.08.05
トコジラミとは
トコジラミは5~8mmほど大きさの虫で、カメムシの仲間です。ダニとは異なり、目視で確認することができ、茶褐色で平べったい形が特徴です。
江戸時代から日本に生息していたといわれており、その後殺虫剤の普及などによって生息数が激減しました。しかし近年、海外からの旅行者を媒介して日本に持ち込まれることによる被害が問題となっています。
トコジラミの栄養源は血液となっており、10分以上かけて吸血することも少なくありません。吸血すると腹部が膨らみ、体が全体的に大きくなります。飢餓に強く、吸血できない環境下でも寿命が比較的長いです。吸血できる場合は、20℃程度の室温であれば9~18か月ほど生存し、雌の場合は1日当たり5~6つほどの卵を産みます。
夜行性で、就寝時に被害にあうことがほとんどです。昼間には壁や柱、家具の隙間などに隠れるため発見が難しく、高級ホテルでも発生することがあります。
トコジラミの症状
トコジラミに刺された場合アレルギー反応により皮膚にかゆみが生じ、人によって症状の程度は異なりますが、睡眠に障害が生じることがあります。リンパ節の腫れや発熱がみられることもあります。
ダニとは異なり、衣服の中まで入り込むことは少なく、肌の露出している部分を吸血します。
刺し跡が二つ並ぶことが多いといわれていますが、実際には数はばらばらであることが多いです。
トコジラミの対策法
刺された場合は、なるべく早めに皮膚科を受診し、外用薬や内服薬などで皮疹とかゆみを抑えることが重要です。皮膚を傷つけないために、かきむしらないのが望ましいです。
トコジラミが棲みついた施設に宿泊した場合、刺されるだけでなく荷物などに紛れ込んで自宅にトコジラミを持ち込んでしまう可能性があります。それを防ぐためにも宿泊施設に到着したらまず、トコジラミの存在を示唆する「血糞」の有無をチェックするようにしましょう。寝具や壁にかかっている額、畳などの裏側や壁の隙間、カーテンの折り目、ひだなどに多数の茶褐色のシミのような糞がみられる場合は、トコジラミが生息している可能性があります(右写真参照)。トコジラミが生息している可能性のある施設に宿泊する場合は、寝具の近くにカバンや衣類、荷物を置かず、部屋の入口付近に置くようにするとよいでしょう。なお、その際はカバンやスーツケース、衣類はビニールの袋などにいれるとより効果的です。ビニールの袋が無い場合は、荷物や衣類は電気を点けたバスルームに保管して就寝する、というやりかたもあります。
残念ながら自宅などにトコジラミを持ち込んでしまった場合は、その駆除が重要となります。現在、ほぼすべてのトコジラミが従来の一般的な家庭用殺虫剤に抵抗力を持っています。そのため家庭用殺虫剤でトコジラミを駆除する場合は、以下の成分を含む殺虫剤を購入し、使用するようにしましょう。
・ ブロフラニリド
・ プロポクスル
・ メトキサジアゾン
・ イミプロトリン
なお、専門業者に依頼して駆虫を行うというやりかたもありますが、悪質な業者もあるため自治体に相談してしっかりした業者を紹介してもらうのがよいでしょう。ただし、それでも費用が高額になることが多いため、見積もりを確認するなどの注意が必要です。
トコジラミは「自宅に持ち帰らない」「よそへ持ち込まない」ことが大切です。清潔・不潔とは関係ありません。蔓延させないことが大切です。