健康トピックス

2023.04.26

帯状疱疹とワクチン

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、体の神経が分布している部位に沿って帯状の赤い発疹が生じ、強い痛みを発するウイルス性の疾患です。神経は左右、体に沿って分布しているため帯状疱疹では左右どちらかに帯のように症状がでるのが一般的です。

帯状疱疹の原因

原因は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)で、初めて感染した時は水痘として発症します。水痘の治癒後も、一生涯にわたり脊髄の神経節にウイルスがひそんでいるため、高齢になって体の抵抗力が弱くなったり、季節の変わり目や重い疲労、体調を崩したり外傷や手術を受けたりした時、あるいは免疫の「有効期限」が切れた時などに眠っていたウイルスが「再活性化」することがあり、これが帯状疱疹となります。

症状・臨床経過

まず皮疹がでる数日から1週間前に、その部位に痛み・違和感・痛痒さなどが生じ肌の表面にブツブツを伴った紅斑(赤み)が出現してきます。紅斑は徐々に面積が拡大してゆき、ブツブツは時間が経つと水疱(みずぶくれ)にかわります。水疱は1~2週間ほどたつとくっついて大きくなってゆき、膿疱(膿の水ぶくれ)、血疱(血の水ぶくれ)となり、さらに時間が進むと びらん・潰瘍(皮膚の傷)になります。その後 痂皮化(かさぶたになること)し、2~4週間後頃には痂皮がとれ、傷がふさがって治るのが一般的です。ただし、重症化すると点滴や入院が必要になることもあります。痛みはウイルスが神経を伝わって皮膚に向かって出てくる際におこる炎症が原因で「電気が走るような」とか「焼かれるような」などと表現される強い痛みが特徴的です。まれに、痛みよりも知覚麻痺や運動麻痺といった神経麻痺が生じることもあり、また、症状がある程度進行してから遅れて出てくることもあります。その他、リンパ節腫脹や、顔面や頭部の帯状疱疹では眼や耳・鼻の合併症(「見えにくさ」「かすみ眼」「ふらつき」「めまい」「耳鳴り」「聞こえにくさ」「においがわからない」など)や「頭痛」「倦怠感」「発熱」などの重症化を疑う合併症などもあります。その他の気を付けるべき合併症としては、陰部や臀部の帯状疱疹では尿や便が漏れてしまう、もしくは逆に出にくくなってしまうといったものがあります。

なお、まれに複数個所に症状が出ることや、帯状疱疹の症状の他に水痘の皮疹が全身のいろいろな部位に出てくることがありますが、これらは重症型の帯状疱疹として扱われます。

治療

抗ウイルス薬の内服(重症であれば点滴)と、疼痛や神経障害に対する治療が主になります。抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑え、治癒期間を短縮させる働きをもつ薬なので、なるべく早め(皮膚の症状が出現してから72時間以内)に使用を開始するのがより望ましいとされています(もちろん72時間以降でも効果はあります)。なお、抗ウイルス薬を開始してもはじめの数日間は皮疹の新生や拡大をみることがありますが、心配いりません。

ウイルスに対する治療と同等に重要なのが痛みに対する治療です。これも治療開始時初期からしっかり治療を行うことが、痛みの後遺症(帯状疱疹後神経痛)の期間短縮、症状軽減につながります(ただし高齢者では神経の傷が治るのに時間がかかることが多いため、神経痛が長引くことは珍しくありません)。疼痛に対する主な治療としては、非ステロイド系消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛治療薬、ある種の抗うつ薬などの他に、神経ブロック注射、漢方薬、保温などがあります。そのほか、痛みのことをくよくよ考えず、好きなことや楽しいこと、やらなければいけないことをやって、痛みのことを忘れているくらいの方が早く治りやすいようです。

ワクチン

現在、帯状疱疹の予防目的でワクチンの摂取が推奨されています。ワクチンには下記の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。以下、表にまとめました。詳しくは医療機関でご相談ください。なお、自治体によっては予防接種費用の助成を受けられる所もありますので、お住いの自治体にお問い合わせください。

ワクチンの種類 弱毒生水痘ワクチン 不活化ワクチン
発症
予防効果
約51% 50歳以上で約97%
70歳以上で約91%~98%
神経痛
予防効果
約67% 約89%
長期
予防効果
8年~10年で効果消失 8年後で84%の有効率
主な
副反応
局所反応、発熱
1~3%に水痘様発疹など
局所反応、発熱
30~40%に筋肉痛、疲労、頭痛など
禁忌 ・本剤の成分にアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな人
・妊婦
・免疫抑制状態にある人
・明らかな発熱や急性疾患のある人
・その他、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
カナマイシン、エリスロマイシンにアレルギーのある人
・本剤の成分にアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな人
・明らかな発熱や急性疾患のある人
・その他、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
回数、投与方法
1回でよい
皮下注射
2回(2~6か月)接種する必要あり
筋肉注射
対象者(2023年4月現在) 50歳以上 50歳以上
※費用については接種している医療機関にお問合せください
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