医療者から見た地域医療のいま

現場の人間が集まって
必要な情報を受け渡せる「連携パス」を

2012. 11. 02   文/梅方久仁子

東京湾岸リハビリテーション病院 院長 近藤国嗣 氏

わいわい話し合い、
人のつながりができた

回復期病院が自主的に作ったものを全県共用のパスのひな形として提案できるわけですね。

近藤 そうです。2008年の9月から回復期病院の有志が何度も集まり、実際のパスシート案を作成していきました。職種ごとに集まって、それぞれの現場の人間が、現場で必要なものは何かを話し合って決めていきました。仕事が終わってから参加する本当のボランティア活動で交通費なども自腹ですから、遠方の病院から来る人は大変だったと思います。でも、県のワーキンググループで認められれば、自分たちが作ったものがオフィシャルなものとして使われるわけです。とてもやりがいがあることなので、みんな熱中して取り組みました。

 最初は回復期側だけで集まっていましたが、途中からは急性期病院の人にも声をかけて、参加してもらうようにしました。どんなにいいシートを作っても急性期の人が書いてくれなければ、使えません。両方の意見を取り入れて、まとめる必要があります。

 年度内には絶対に完成させようと頑張って、2009年4月に最初の版を出すことができました。

 作成中には、みんなで集まってわいわい話し合い、近所の居酒屋で一緒にお酒を飲むこともよくありました。このときのつながりで、今でも「千葉県脳卒中連携有志の会(現千葉県脳卒中連携意見交換会)」として定期的に集まっています。

 病院を越えた人のつながりができたのは、連携をスムーズにするためにはとてもよかったと思います。何かあってもすぐに気兼ねなく連絡できるようになりました。人のつながりの重要性を実感したので、連携パスとは別に回復期同士がもっとつながろうということで、千葉県回復期リハビリテーション連携の会というものも2010年末には立ち上げました。