地域医療ニュース

多職種協働による在宅チーム医療を担う
人材育成事業・地域リーダー研修会を開催

2013. 05.24   文/梅方久仁子

千葉大学医学部附属病院高齢社会医療政策研究部長 高林克日己 教授

質の高い在宅医療は、病院以上の存在

 次に、千葉大学医学部附属病院高齢社会医療政策研究部長の高林克日己教授から、「千葉県の在宅医療の状況、課題 なぜ在宅医療なのか」という題で、講演があった。

 今後は高齢化が進み、都市部では高齢者数が膨大になって、病床数が足りなくなる。在宅医療を進める理由の1つに、この病床数の不足がある。また、高齢者が増えるとがん患者が増えて、化学療法や緩和ケアを受ける人が増える。そういう人たちを施設は預かってくれないため、ここでも在宅医療が必要になる。医療過疎地域では、高齢になって動けなくなると外来に通えなくなる。そのためには、広域をカバーする在宅医療が必要になる。

 今は多くの人が病院で亡くなっているが、1950年頃には多くが自宅で亡くなっていた。欧米では30%程度の人が自宅や施設で亡くなっている。最近のアンケート調査では、自分がどこで死にたいかという問いに、病院37.7%、自宅31.5%と答えている。人生の最後を自宅で過ごしたい人のためにも在宅医療が必要だ。

 在宅医療では、最高水準の医療を求めるのは難しい、家族介護が大変だという問題があるものの、患者さんの満足度が高く、病院資源を必要としない、医療費を軽減できるというメリットがある。質の高い在宅医療は、病院以上の存在で、医療の原点だと考えるとのことだった。

最期を迎える場所はどこを希望するかのアンケートでは、病院37.7%、自宅31.5%の結果が出ている。(クリックすると拡大します)