地域医療ニュース

千葉県在宅ネットワークが第1回研修会を開催
多職種連携で、認知症の在宅医療・介護をサポート

2012. 08. 03   文/梅方久仁子

摂食・嚥下障害があると
低栄養のリスクは3.2倍に

飯塚真司氏
飯塚真司氏

 上野氏に続いて、千葉県歯科医師会在宅歯科医療サポートチームの飯塚真司氏により「認知症患者の摂食・嚥下障害、 摂食・嚥下機能評価からの栄養支援」について講演があった。

 不適切な食環境から低栄養になると摂食・嚥下障害が起こり、そこから生活機能が低下し、さらに低栄養になるという悪循環が生じてしまう。また、摂食・嚥下障害の原因はいろいろあるが、咬合支持(かみ合わせ)がなくなると、低栄養のリスクは3.2倍になる。しかし、義歯を使用することで1.7倍にまで抑えられるという。

 歯に問題があっても、デイサービスのように送り迎えがないため、歯科医院を受診できない人がいる。千葉県歯科医師会では、在宅歯科医療連携室が相談を受け付けているので、ぜひ利用してほしいとのことであった。

 また、訪問歯科診療では実感として認知症患者が増えているという。認知症の人は、口を開けてくれない、食べようとしない、いつまでも噛んでいるといった問題を抱えている。飯塚氏が担当した症例でも、咬合支持が2カ所しかないが、認知症で義歯を入れても捨ててしまうため使えない人がいる。食事で対応するしかないが、歯がないと口の中で食べ物をまとめられないため、刻み食は食べられない。食べられない人には何を食べさせてあげればいいのか、このような多職種の集まる場で助言をもらえればありがたいとのことであった。

多職種で話し合えば
いろいろな見方がわかる

 研修会の第2部は、別室に移ってグループワークとなった。会場の都合上先着50名の定員ということであったが、最終的には約60名が参加した。7~8人ずつ8つのグループに分かれて、まずは互いに自己紹介を行い、その後、提示された症例についてそれぞれの職種の経験を踏まえ、問題点や解決策を話し合った。

グループワークの様子