地域医療ニュース
千葉県在宅ネットワークが第1回研修会を開催
多職種連携で、認知症の在宅医療・介護をサポート
2012. 08. 03 文/梅方久仁子
2012(平成24)年4月15日、千葉大学医学部附属病院にて千葉県在宅ネットワークの平成24年度定期総会と第1回研修会が開催された。千葉県在宅ネットワークは、2011年11月に千葉県内の医療・介護関係の施設・団体が、多職種連携による、より良い環境作りを目指して設立したものである。新年度を迎え、本格的な活動へと乗り出した定期総会・研修会の様子をリポートする。
千葉県在宅ネットワークの平成24年度定期総会は、4月15日13時より千葉大学医学部附属病院第1講堂にて開催された。これまでの活動として、設立総会と講演会の開催、千葉県在宅ネットワークのホームページにて在宅医療・介護資源マップの提供を開始したことなどが紹介された。
認知症になっても
適切なケアをすれば笑顔で暮らせる
定期総会終了後、引き続き研修会が開催された。研修会は講演とグループワークの二部構成で、講演の演題は2つ。最初は、社会福祉法人ロザリオの聖母会海上寮療養所の上野秀樹氏により、「認知症の人を在宅医療で支えるために」の講演があった。
上野氏は、精神科医師として多数の在宅認知症患者への訪問診療を行っている。講演では、認知症は適切な介護をすれば精神症状や行動障害の出現を防いで、笑顔で暮らせるようになると説明した。認知症の予防は不可能でも、「認知症になっても生き甲斐のある社会」「家族の負担にならずに、適切なケアが適切に提供される社会」を目指すことは可能だと指摘した。
精神科の患者は本人に自覚がないため通院が難しく、また、家族が介護に疲れ果ててしまうことなどから、入院需要は非常に高い。しかし、入院医療は安全管理を重視するため、患者にとっての生活環境は必ずしも良いものではない。訪問診療のように何らかの形で薬物療法ができれば、症状が重くても地域で生活できると説明した。
認知症になっても、早めにアセスメントをすれば、将来どうなるかを予測し早めに対応ができる。また、ケアマネジャーによる適切なケアを受けることで、精神症状や行動障害が改善する人が多い。今のように問題行動が出てから対応していたのでは、後手後手に回ってしまうため、認知症と診断されたらすぐにアセスメントをし、早めの対応をすることが大切とのことであった。