地域医療ニュース
千葉から脳卒中治療の形を変える!
「第3回千葉県脳卒中連携の会」開催
2012. 06. 05 文/大森勇輝
続いて、壇上に登ったのは千葉県健康福祉部高齢者福祉課長(当時)の櫛引宣子氏である。櫛引氏は、「千葉県地域生活連携シート」導入の過程と、その活用状況に関するアンケート調査の結果を発表した。
地域生活連携シートとは、居宅介護支援サービス等の利用者が医療機関や施設に入退院する際、居宅介護支援事業所などのケアマネジャーと入退院する医療機関・施設が利用者情報を共有するためにつくられた千葉県独自の様式である。
櫛引氏によると、この地域生活連携シートに関するアンケート調査で浮き彫りになったもの、それはその認知度の低さとともに、医療機関、介護施設ごとに、連携パス導入・活用に関して温度差があるということである。
たとえば、シートを活用している人からは、「独居高齢者の情報把握に有効」「退院の判断がしやすくなった」という意見があった。その反面、「書くのが煩雑すぎる」「医療機関がシートの効果を軽視している」といった声もあったという。また、認知度が低いため、片方の機関がシートを使って情報提供しても、もう片方がシートの存在を知らないため意思の疎通ができないこともあるというアンケート結果も紹介された。
事実、櫛引氏の講演に続いて看護師など現場で働くスタッフが連携シートの使用状況についての報告を行ったが、いずれもシートの効果を認める反面、認知度、利用率の低さからその有効性が十分に発揮されていないと語っている。また、質疑応答でも同様の意見が提示された。
このように、現時点では地域生活連携シートの認知度は高くはないが、その有効性は認められており、認知度向上による利用率向上が今後の連携シートの課題である。
「重症例での在宅復帰」についての症例報告のあと、登壇者全員によるパネルディスカッションが行われ、第1部は幕を閉じた。