地域医療ニュース

千葉から脳卒中治療の形を変える!
「第3回千葉県脳卒中連携の会」開催

2012. 06. 05   文/大森勇輝

 日本人の死因第3位となる「脳卒中」。このがん、心臓病とともに日本人の三大死因である病気に対し、千葉県では、各種医療機関や福祉施設が、「千葉県共用脳卒中地域医療連携パス(以下、連携パス)」と呼ばれる独自のシステムを活用し、地域ぐるみで治療、リハビリを行える体制の構築を目指している。連携パスとは、医療や福祉機関が切れ目なく治療、リハビリなどを行えるよう、「診療計画書」や「連携シート」などに患者の病状、診療内容・達成目標等を記入し、その情報を共有するというシステムのことだ。

 そうした取り組みを総括し次につなげるべく、2月19日千葉市のアパホテル&リゾート東京ベイ幕張で、千葉県、千葉県医師会の共催による「第3回千葉県脳卒中連携の会」が開催された。千葉県全体で連携パスをどう活用し、どのように脳卒中対策を充実させるのか? メインテーマである「地域で支える・生活と健康」をめぐり、休憩を挟んで8時間近くさまざまな立場から熱い意見が飛び交った、主会場の模様をダイジェストでお送りする。

千葉県独自の「地域生活連携シート」を紹介

古口 徳雄氏
古口 徳雄氏

 会は、千葉県救急医療センターの古口徳雄氏の講演でスタートした。古口氏は、連携パス導入の中心人物として、同システムの導入、変遷、そして今後についての概略を語った。

 まず、改めて連携パスを必要とする千葉県の医療状況、そして、連携パス運用に関する現状を説明。さらに、とりわけ脳卒中治療の特徴として、医療機関においても在宅においても、医療関係者はもとより、福祉関係の介護機関やケアマネジャー、さらには薬剤師、栄養士といった多職種が連携していく必要があることを指摘した。

 その一方で、千葉県全体としての医療資源は限られており、とりわけ脳卒中専門医療機関は東葛地域に偏っていることを説明。それを踏まえて、医療資源を増やすのは時間がかかり現状への対応策として現実的ではないとし、だからこそ連携パスを活用し、限られた医療資源の有効利用を進めていくのが効果的だと主張した。

古口氏が示した脳卒中専門医療機関の分布。
東葛地域や千葉市などに偏っていることがよくわかる。
(クリックすると拡大します)

 と同時に、古口氏は連携パス運用の煩雑さや認知度の低さなど改善の余地があることを認めており、そうした問題点をクリアしながら、連携パスを通じて、関係者同士の顔が見える地域医療を目指すこと、さらには、連携パスのさらなる普及により医療と介護の質と量の保証を図っていきたい旨を述べ、スピーチを締めくくった。