地域医療ニュース
災害時の被害を最小限にするにはどうする?
災害をテーマに地域医療フォーラムを開催
2012. 04. 24 文/梅方久仁子
身障者の3割が「逃げたくても逃げられない」
最初の講演は、御宿町身体障害者福祉会会長・滝口仲秋氏による「東日本大震災時における身体障害者の行動意識調査について」だ。
滝口さんは、いすみ市岬町生まれ。教職者としての人生を歩む途中、脊髄腫瘍により下半身が不自由になり、50代半ばで車いす生活を余儀なくされた。現在は、御宿町身体障害者福祉会会長を務めるかたわら、執筆・講演活動で忙しい毎日だ。自らの体験をもとにした『足がだめでも手があるさ』など著書が多数ある。
今回、滝口さんは震災直後から周囲の身体障害のある人の安否確認に走り回ると同時に、約1カ月をかけて聞き取り調査を行った。その結果をもとに、アンケートを作成。身体障害のある人が震災時にどのような行動を取ったか、今後は災害発生時にどのように行動しようとしているかについて、詳しく調査した。
その結果、大きな地震・津波が来た時に逃げようとしても、「近くの県道・国道へ自分1人で出られない」と回答した身体障害のある人が30パーセントに上ることがわかった。しかも「出られる」とした人の中にも、地震で木が倒れるなどして「障害物があったら出られない」とした人がいる。体に障害のある人の多くが逃げようと思っても、現実には逃げられない状況だ。
また、町には避難に支援が必要な人を登録する防災登録制度があるが、この制度を知らない人が65パーセントに上ることもわかった。
6月には、これらの調査結果をもとに、地元の御宿町に要望書を提出。今後の防災計画への配慮に役立ててほしいと訴えた。町からは7月に対策に努める旨の回答書が届き、現在も対応が進行中だ。