健康トピックス

2017.09.14

ウイルス性の肝臓病「B型肝炎」

B型肝炎とは

B型肝炎ウイルスの感染よって発症する肝臓の病気です。肝臓は、自覚症状が現れない場合が多く、気づいた時には重症化していることがあります。

B型肝炎ウイルスは、感染している人の血液を介して感染します。さらに、感染している人の血液中のウイルス量が多い場合は、その人の体液などを介して感染することもあります。主な感染経路としては、出生時の産道出血に伴う母子感染、性行為や不衛生な器具による医療行為、出血を伴う民間療法、ピアスの穴あけ、刺青による感染などがあります。

B型肝炎ウイルスは、HIV(エイズウイルス)やC型肝炎ウイルスよりも感染力が強いです。最近では慢性化しやすい欧米型ウイルスの感染者がだんだんと増えてきています。

B型肝炎の症状

B型肝炎は、感染した時期や健康状態によって、一過性の感染で終わる「B型急性肝炎(一過性感染)」と、ほぼ生涯にわたって感染が継続する「B型慢性肝炎(持続感染)」に分けられます。

B型急性肝炎
1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。健康状態によっては、激しい炎症による肝不全をもよおす場合があります(劇症肝炎)。肝不全に至らない場合、症状は数週間ほどでおさまり回復していきます。
B型慢性肝炎
慢性肝炎の場合は、出産時または乳幼児期に感染します。生後数年~十数年間は肝炎の発症はありませんが(無症候性キャリア)、思春期を過ぎると自己の免疫力が発達し、白血球(リンパ球)がB型肝炎ウイルスを体内から排除しようと攻撃を始めます。この時に、リンパ球が感染した肝細胞も一緒に壊してしまうため、肝炎が起こり始めます。一般に10~30代に活動性の肝炎を起こし、その後、一時沈静化することもありますが、再び活動を繰り返し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに移行していきます。また、慢性肝炎からいきなり肝がんになる可能性もあります。

検査法・治療法

B型肝炎ウイルスの検査は、採血で行います。明らかに自覚症状がある場合は、医療機関で早期診断を行うことをおすすめします。性行為での感染の場合は、パートナーの感染率も高いため、2人同時の検査や治療が必要です。

急性肝炎は一般に抗ウイルス療法は必要ありません。食欲低下などの症状があれば水分、栄養補給のために点滴などを行いますが、基本的に慢性肝炎の治療に使う薬は使用せず、自然にウイルスが排除されるのを待ちます。しかし、劇症肝炎が発症し、放置すれば命にかかわる可能性もある場合には、抗ウイルス薬の投与や血液透析などの肝臓の機能を補助する治療を行います。治療をしても肝炎が進行し、肝硬変、肝不全になった場合は、肝移植を行うこともあります。

一方で、B型慢性肝炎の場合は、ウイルスを身体から完全に排除することは出来ません。そのため、肝細胞の破壊の度合や、残されている肝臓の機能の程度、病気の進行状況を見て治療を行います。慢性肝炎を発症した場合、適切な健康管理や必要に応じた治療をせずに放置すると、自覚症状がないまま肝硬変へと進展し、肝がんになる可能性があります。適切な治療を行なうことで病気の進展を止めたり遅らせることができるので、感染していることが分かったら、必ず定期的に医療機関を受診してください。

B型肝炎の予防法

感染予防にはワクチン接種が有効です。日本では、1986年から開始された母子感染予防対策事業によって、新規の母子感染をほとんど防げるようになりました。しかし依然として、ピアスの穴開けや刺青、性行為などによる感染や、ワクチン接種を受けていない乳幼児の感染の事例が報告されています。

そこで2016年10月から、B型肝炎ワクチンが定期接種化されました。0歳児に限り、生後2ヶ月から無料で接種できます。1回目の接種から27日を過ぎてから2回目を接種、さらに1回目の接種から139日を経過した後(20~24週後)に3回目の接種を行います。

また、B型肝炎ウイルスに感染しないためには、感染している人の血液になるべく触れないことが大切です。

現在、献血された血液は高い精度でB型肝炎ウイルスのチェックが行われており、ウイルスが含まれる場合は使用されていません。しかし、感染の危険行為をした後に検査を目的として献血した場合には、精度の高い検査を行っても輸血による感染を完全に防止することができない場合があります。検査目的での献血は決して行わないようにしてください。

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