健康トピックス

2024.01.29

傷痕が赤く盛り上がってどんどん広がる病気「ケロイド」

ケロイドとは

皮膚に生じた傷を治すためには、皮膚の細胞の働きが必要です。ケロイドとは、傷が治る過程で細胞が必要以上に増殖することで、傷痕が盛り上がってしまった状態であるとされています。高血圧やアレルギー体質、妊娠中の人は、とくに悪化しやすいとされ、注意が必要です。

全身のどこにでも生じますが、首と胸の間である前胸部(特に胸の正中部)、首から背中にかけての肩甲部、上腕や恥骨部などのよく動いたり、動く際に引っ張られる力がかかりやすい部位に多く見られます。そのほか、耳たぶなどに発症することが多いとされています。

ケロイドの発症には傷の深さや炎症の強さ、遺伝や体質なども関係していると考えられています。ケロイド体質の方では、胸にできたニキビがケロイドになってしまうことも珍しくありません。

ケロイドの症状

皮膚の傷や炎症が生じた部分が、赤く盛り上がります。時間が経つにつれて傷の範囲を超えて大きくなり、鮮やかな赤色から褐色への色の変化もみられます。

ケロイドの周辺をつまむと、痛みが生じます。強いかゆみや皮膚の引きつれ感などの症状を伴うこともあります。

似たような症状が現れる病気の1つに、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)があります。肥厚性瘢痕はケロイドに比べて痛みや痒み、引きつれ感などの症状は軽いことが一般的で、傷の範囲を超えて大きくなることはありません。また、それらの症状や盛り上がりは年月の経過とともに落ち着いていくことが多くみられます。

ケロイドの治療法

ある種の抗アレルギー内服薬や漢方薬の内服、ステロイドの貼り薬、塗り薬、注射薬などを用いる薬物療法、シリコンゲルシートやサポーター、包帯など患部を圧迫・固定し、患部にかかる力を軽減したり過剰な血流を抑えて炎症を抑制する圧迫固定療法のほか、重症例や見た目が問題になる場合などでは手術と術後電子線照射を組み合わせて治療を行います。

ケロイドは難治で再発しやすい病気です。しかし近年では医療技術の発展により、上記のような再発を防ぐ様々な治療方法が開発されています。

発症が疑われる場合は、形成外科や皮膚科のある医療機関を受診しましょう。

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