2021.05.24
肺がんとは
肺がんとは、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん細胞に変化したものです。がん化した細胞は周囲の組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗って体中に広がります。発がん物質を含むたばこや化学物質、そして放射線などが肺がんの原因になるとされています。たばこに関しては、喫煙者だけでなく、その周りにいて煙を吸ってしまう受動喫煙でも、がん発生のリスク要因となります。日本では年々肺がん患者は増加傾向にあります。現在、日本人男性のがんによる死亡者数では、肺がんが最も多いのです。
たばこによる肺がんのリスク
肺がんは、肺の細胞の中にある遺伝子に傷がつくことで生じます。傷をつける原因はいくつかありますが、その中で代表的なのが喫煙と受動喫煙です。喫煙習慣がある人は吸わない人の4.5倍、20歳未満で吸い始めた人は6倍のリスクを抱えるとも言われています。また、喫煙習慣のない人も、受動喫煙によって肺がんのリスクが高まってしまいます。喫煙している方は周囲の方(特に家族)を肺がんにさせないためにもしっかりと禁煙を実行するようにしましょう。
肺がんによる症状
早期の肺がんは症状が出にくく、咳などの症状があったとしても風邪と勘違いし、気づかないことがあります。がんが進行すると、呼吸困難(息切れ、息苦しさ)、体重減少、血痰、胸の痛みなどの症状もあらわれます。
喫煙者(受動喫煙を含む)で咳が3週間以上続く場合はかかりつけ医に相談しましょう。
肺がんの分類
がん細胞やその集団の形は、組織型といういくつかの種類に分類されます。
組織型 | 多く発生する場所 | 特徴 | |
---|---|---|---|
・非小細胞肺がん | ・腺がん | ・肺の奥の方 | ・女性に多い ・症状が出にくい |
・扁平上皮がん | ・肺の入口近く | ・ほとんどが喫煙者 | |
・大細胞がん | ・肺の奥の方 | ・増殖が速いことが多い | |
・小細胞肺がん | ・小細胞がん | ・肺の入口近く | ・ほとんどが喫煙者 ・転移しやすい |
肺がんの約60%を占めるのが腺がんで、次に扁平上皮がんが多く、大細胞がん、小細胞がんは発症頻度の低いがんとされています。
肺がんの治療法
肺がんの治療方針は、肺がんの種類(組織型)や遺伝子の型、がんの広がり方(病期、ステージ)、がんのある場所、患者さんの体力なども総合的に検討して選択します。
外科療法 |
---|
肺にできたがんを完全に取り除くことを目的に行われます。手術は治療効果の高い方法ですが、その反面、切除部分が大きい場合、手術後に息切れなどの症状がでることがあります。そのため、患者の体力や状態によっては別の方法を検討します。 |
放射線療法 |
---|
高エネルギーのX線を体の外から照射してがん細胞を傷つける治療法です。骨や脳への転移による症状の緩和にも有効です。 |
薬物療法 |
---|
抗がん剤による治療で、広範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。非小細胞肺がんは、病期に応じて手術や放射線治療と組み合わせて、あるいは単独で抗がん剤治療を行います。小細胞肺がんは、非小細胞肺がんに比べて抗がん剤治療の効果が高いため、抗がん剤が治療の中心となります。 |
喫煙習慣のある人は、禁煙することが一番の予防となります。
また、がんの早期発見のためにも、定期的に肺がん検診をしっかり受けるようにしましょう。