2016.12.06
食物アレルギーとは
食物アレルギーとは、摂取した食物が原因となり免疫学的機序(体を守る働きを免疫といいます)を介して、じん麻疹・湿疹・下痢・咳・喘鳴(ゼーゼー)などの症状があらわれることをいいます。現在、国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っているといわれ、欧米や日本などの先進国で非常に大きな問題となっています。その中で、食物アレルギーは1歳未満の乳児の発症が最も多いとされています。最近では、以前ではみられなかった果物・野菜・芋類などによる食物アレルギーの報告もされています。
食物アレルギーによる症状
食物アレルギーによる症状は大きくわけて5種類あります。摂取するアレルゲン量や年齢にもよりますが、授乳期には発赤疹・湿疹などの症状が多く、離乳期から幼児期にはじん麻疹・湿疹などの皮膚症状に加え、眼粘膜症状・鼻症状・消化器症状・下気道症状などの症状があらわれます。最悪の場合、アナフィラキシー(※1)によって、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、生命を脅かす危険な状態になることもありますので注意が必要です。
※1 アナフィラキシー:複数のアレルギーが短時間で生じる状態。複数の臓器に渡り症状が起きる。
食物アレルギーによる主な症状
皮膚粘膜症状 | ●皮膚症状:掻痒感、じん麻疹、血管運動性浮腫、発赤疹、湿疹 ●結膜症状:眼結膜充血、掻痒感、流涙、眼膜、眼瞼浮腫 |
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消化器症状 | ●悪心・疝痛発作・嘔吐・下痢 ●慢性の下痢による蛋白漏出・体重増加不良 |
上気道症状 | ●口腔粘膜や咽頭の掻痒感・違和感・腫張 ●咽頭喉頭浮腫 ●くしゃみ・鼻水・鼻閉 |
下気道症状 | ●咳嗽・喘鳴・呼吸困難 |
全身性反応 | ●ショック症状(頻脈・血圧低下・活動性低下・意識障害など) |
アナフィラキシーショックに気をつけましょう
食物アレルギーの症状に、アナフィラキシーショックというショック症状があります。これは、軽い症状であれば抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服で対応しますが、全身じん麻疹や呼吸困難などの症状があらわれた場合、エピペンというショック症状を和らげる注射を行います。幼稚園や小学校で、子どもが誤ってアレルギーのあるものを口にしてしまい、ショック症状になるというケースがあります。こういったときに、学校・園側がアレルギーの特徴や正しいエピペンの使用方法を知らずに、判断が遅くなった場合、最悪のケースも考えられるのです。そのため、学校・園側はアレルギーの特徴やエピペンの使用方法を理解し、日ごろから注意することが大切です。そして、ショック症状を起こした人に遭遇したら、早急な判断・行動をとれるようにしましょう。