2016.10.27
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RSウイルス感染症とは
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RSウイルス感染症とは、冬季に流行する急性呼吸器感染症です。1歳未満の乳児や心肺に疾患を持っている小児、早産児など、免疫機能が低下している乳幼児が感染すると重症化してしまう恐れがあり、入院や呼吸管理が必要となります。大人の場合、感染しても風邪と似た軽い症状しか出ないため、RSウイルス感染症とは気づかずに、乳児に感染させてしまうというケースもあります。周りの大人たちは病気の特徴をしっかりと理解し、十分注意しましょう。
RSウイルス感染症の特徴とその症状
RSウイルス感染症には、生後1歳までに半数以上が、2歳までに大半の子どもが感染すると言われています。そして、初感染時には重症化しやすく、乳児期早期(生後数週間~数ヶ月間)に初感染した場合、細気管支炎、肺炎といった重い症状になることがあります。さらに、低出生体重児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などを持つハイリスク児に感染しますと、体への負担がより大きくなるため、大変危険です。重い症状となるのは感染者の3割と言われてはいますが、無呼吸発作などにも繋がる恐れがあるため、予防・対策をしっかりしましょう。
RSウイルス感染症の予防と治療
RSウイルス感染症は、ウイルス排泄期間が7~21日と長いため、感染が広がりやすいことが特徴です。空気感染をするといった報告はなく、飛まつ感染や、ウイルスのついたもの(ドアノブ、おもちゃ、コップなど)を介して間接的な接触感染で感染します。そのため、マスクの着用や、手洗い・うがいをしっかり行うことが大切です。また、接触感染を防ぐために、多くの人が触れるドアノブ、手すりなどをこまめに洗浄消毒することも重要です。
現在、ワクチンは存在しませんが、ハイリスク児童に対してモノクローナル抗体製剤の予防的投与により、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。感染してしまった場合、RSウィルスに対する特効薬はありませんので、発熱や咳をやわらげる対症療法を行います。
特効薬がなく、免疫の低下した乳幼児に感染すると命を失うこともありますので、乳児へ感染させないよう注意し、日ごろの生活空間での予防対策をしっかりしましょう。
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