地域医療再生プログラムとは?
第5回 山武長生夷隅保健医療圏の
「地域医療再生計画」その1
?3次救急を担う救命救急センターがなく、
3人に1人の救急患者を圏外に運ばざるを得ない?
2011.12.07 文/桶谷仁志
下の表は、圏内の医師数、看護師数を、県全体と比較して示したものです。医師数(人口10万対比)は93.1人と、全県平均の153.5人の約6割となっています。全国平均(206.3人)と比べると5割以下で、これは県内のほかの医療圏と比べて、最も低い数字となっています。看護師数(人口10万対比)も272人で、全県平均477.8人の6割以下です。このように圏内の医師不足、看護師不足は明らかですが、その影響もあって、圏内の救急医療体制は厳しい状況となっています。
救命救急センターの整備など抜本的な対策が必要
日本の救急医療体制は、患者の重症度に応じて、初期(1次)?3次までの3段階制をとっています。初期(1次)救急医療は、入院治療の必要がなく、外来で対応できる軽症患者向けの救急医療です。2次救急医療は、入院治療や手術を必要とする重症患者に対応する救急医療です。一般的には、地域の主要な医療機関が、当番日を決めて輪番で担当しています。さらに3次救急医療は、2次救急では対応できない、一刻を争うような重症の救急患者に対応する救急医療です。複数の診療科にまたがる高度な処置が必要となるため、救命救急センターもしくは高度救命救急センターと呼ばれる特別な救急体制を持つ医療機関が担当します。
山武長生夷隅保健医療圏には、3次救急を担当する救命救急センターが存在しません。そのため、3次救急が必要な重症患者は、圏外の旭中央病院、亀田総合病院、千葉県救急医療センターなどに、時間をかけて搬送せざるを得ないのです。