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健診で尿蛋白が+(プラス)だったり腎臓の働きが低下していると言われたことはありませんか? 軽い異常なら症状もなくそのままになっていることが多いと思います。しかし、これらを放置するとさらに腎臓の働きが悪くなり腎不全になるだけでなく、むしろ心臓病、脳血管障害で命にかかわる事態になる確率が非常に高いことが証明されています。慢性腎臓病という考え方は、腎臓の病気の種類にかかわらず蛋白尿が三ヶ月以上続いたり、腎機能が一定の基準以下になっている場合(正常値からほんの少し悪いだけでこの範疇に入ってしまいます)を言います。日本では1300万人以上が当てはまるといわれていますが、この内きちんと治療を受けているのは10%程度といわれています。腎機能が10%以下になると腎不全、尿毒症といった状態になり血液透析、腹膜透析、腎移植などの治療が必要です。これらの治療を行っている患者さんは現在28万人ほどおり年間数千人~一万人ずつ増えています。実に人口の400~500人にひとりになります。糖尿病が原因疾患の第一位です。糖尿病で治療を受けていらっしゃる方は血糖のコントロールはもちろん大事ですが、尿に蛋白が出ていないかが非常に大切であり、できるだけ早くみつけて治療する必要があります。もちろん糖尿病以外でも尿の蛋白を軽く見ないで必ずきちんとした診断、治療を受けて下さい。
治療は個々の病気によりもちろん異なります。共通するのは血圧を120~130以下に下げる必要があるということですがこれが実は大変難しいのです。もう一度、健診や自分のデータを慢性腎臓病という面から見直してみて下さい。
【順天堂大学附属病院 腎臓内科 林野 久紀】
最近ではみなさんの乳がんへの認識も高まり、検診を受けられる方やご自分でしこりをみつけて病院を受診される方も増えてきています。それでも「がん」という言葉を聞くと悲観的になってしまったり、乳がんに対し特別な感情を持っていて、しこりを自分で気づいていながらそのままにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。学術的なことは他誌に委ねるとし、今回はある乳がん患者さんについてお話したいと思います。その方は、右胸のしこりを主訴に大学病院に来院されました。診察してみると10cm近くの大きな癌で、皮膚はクレーター状に大きな潰瘍を生成しており、異臭を放ち、少し擦れただけで表面から出血する状態でした。検査の結果、骨転移、肺転移がみつかりました。手術はできず、日々病巣の消毒と骨転移に伴う病的骨折予防のための窮屈なコルセット、抗がん剤治療とその副作用に悩ませられる日々が数ヶ月続きました。この方は来院する数年前から右胸の小さなしこりに、みずから気づいていたのです。にもかかわらず、癌と診断されるのが怖い、人に知られたくないという理由からそのまま放置し、いよいよ自己管理できなくなり、外来に受診されたのです。
もしこの方が、初めてしこりに気づいた時に来院されていたら、おそらく現在もお元気でいたでしょう。みなさんはどう思いますか。自己検診の大切さをお分かりいただけたでしょうか。そして少しでも気になることがあれば、恥ずかしがらず、怖がらず、診察を受ける勇気を持って下さい。
【さかいクリニック 酒井 均】
普通の人は平気でも、中には日光にあたったことが原因で皮膚になんらかの変化を起こすことがあります。これを一般的に日光過敏症といいます。病因は多彩で遺伝的なもの、光アレルギー性によるもの、光毒性によるものと複雑で幅広い疾患があります。
喘息は慢性疾患なので、医師との良好な信頼関係のもと、必要十分な治療を継続することが重要です。また、ともすると忘れがちで薬剤一辺倒の治療が全てと勘違いされるほど治療法は進歩しましたが、だからこそ喘息の発病や悪化を予防する対策は今まで以上に非常に重要であり、寝具やソファー周辺を中心としたダニやほこりを減らす工夫やペット、たばこの煙を含めた環境整備を心がけ、また一番の悪化要因であるウイルス感染等を極力少なくするように、日ごろからかぜを引かないよう健康的な生活を送ることが大切です。
【野田クリニック 野田 良材】
今まで耳の病気をしたことのない健康な人が、ある日突然聞こえが悪くなり、耳が塞がった、耳に水が入った、音が響くなどと感じることがあります。このような病気のうち原因が不明で難聴が高度なものを突発性難聴といいます。数年前の調査では40〜50代の女性に多くみられましたが、最近若い女性歌手がこの病気になり話題になったように、10〜20代、また男性でも発症することは少なくありません。難聴だけではなく耳鳴りやめまいを伴うこともあり、めまいを伴うものは治りの悪い例が多いようです。
原因が不明のため確実な治療法はありませんが、ウィルス説や内耳の循環障害説などに即して、ステロイド剤の投与、血流改善剤の投与、代謝促進剤の投与、星状神経節ブロック、高圧酸素療法などの治療を組み合わせて行います。ストレスや疲労が発症の誘因ともいわれており、安静のためにもなるべく入院して治療します。このような治療でおおよそ三分の一の方が治癒、三分の一が改善しますが、残りの三分の一は改善しません。治療効果に最も影響を及ぼす要因は発症より治療を始めるまでの期間で、早ければ早いほど治りが良いとされているので、遅くとも一週間以内に治療を始めたいものです。一ヶ月を過ぎると回復する確率はかなり低下します。 普通は片側性のため日常生活にあまり支障は感じず治療が遅れることもあります。急に耳に違和感を覚えたらこの病気の可能性がありますので、なるべく早く専門医に相談しましょう。
【小松耳鼻咽喉科 小松信行】