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熱中症とは、高温多湿下で生じる体の障害を総称したもので、症状などにより、1.血管の拡張によって血圧が低下し、めまいなどを起こす熱失神 2.脱水症状のため頭痛や吐き気に見舞われる熱疲労 3.大量の発汗に伴い血中の塩分濃度が下がり、筋肉に痛みを伴う熱痙攣 4.急激な体温上昇の結果、意識障害を招く熱射病の四つに分類されます。太陽光線の過剰照射による高体温障害は、日射病とよばれることもあります。
この中でも熱射病が最も危険性が高い状態です。熱射病は、異常な体温上昇により体温調節機能が破綻し、強いうつ熱状態に陥る結果発症します。体温が四十度以上に上昇し、発汗が停止する場合もあります。熱痙攣、熱疲労の症状が出現後、脳、肺、肝、腎などの全身の臓器が障害される多臓器不全に陥り、死亡に至ることもあります。
熱中症の発生には、気温だけではなく湿度、気流、直射日光、健康状態などさまざまな要因に大きく影響されます。熱中症が発症した場合、応急処置の基本は休息、冷却、水分補給の三つです。すぐに涼しい環境下に移動し安静にする。体を冷たい水などで冷やす。水を飲ませるなどの処置が必要です。高齢者の場合、屋内熱中症にかかることもありますので、熱気のこもった室内で長時間過ごす場合は、こまめな水分補給を心がけ、冷房、除湿機を使うことも必要です。顔色不良、頻脈、血圧低下、意識障害が見られる場合は、医療機関における治療が必要になります。
【波多野内科クリニック 波多野 等】
若いときから眼がよく、最近目や頭が重い、見ているものがかすむことがある。ときどき光の周囲に虹が見えることがある。これらの症状のある人は急性緑内障をおこすかもしれません。
急性緑内障は黄色人種で中年過ぎの女性で遠視の人に多く起こります。このような人では眼の中を循環している水(房水)の出口(隅角という)が元々解剖学的に狭いのですが、何らかのきっかけで隅角が完全にふさがると、房水が眼内にたまり急激に眼圧が高くなって急性緑内障が発症します。
発症すると「目の痛み、虹視症(光の周りに虹が見える)、視力低下」などの目の症状のほか、「頭痛、吐き気」などの全身症状が起こります。これらの症状は突然起こり、しかも激しいことが多いので、内科や脳外科を受診する患者さんも少なくありません。急性発作は両目に起こることはめったになく、夜間に起こりやすいのが特徴です。またストレスが重なると急性発作を起こしやすくなります。
発作を起こした場合は、薬物療法で直ちに眼圧を下げ、その後、レーザー治療や外科的手術で再び発作が起こらないように房水の流れをよくする治療を行う必要があります。一日でも適切な治療が遅れると失明することもあるので要注意です。急性緑内障を起こしやすい目は眼科医の診察をほぼ百パーセントわかります。危険性の非常に高い人は予防的にレーザー治療すれば発作はほとんど予防できます。心当たりのある人は一度眼科で検査してもらいましょう。
【かわばた眼科 川端 秀仁】
子供のヤケドの原因は、ポットの湯、カップラーメン、ストーブ、花火、炊飯器の蒸気などです。大人の不注意が原因となる場合も多いので気をつけましょう。特に炊飯器やポットの蒸気は子供が面白がって手をかざしてしまいがちです。手指のヤケドは拘縮といって関節が固まり皮膚移植の手術が必要となることがあります。また、風呂のふたの上で遊んでいて転落し広範囲にヤケドをすることもあります。体表面積の一〇%を超えれば入院治療となります。
低温ヤケドとは、あんかのようにそれ程高温でない熱源への長時間の接触によるものをいいます。この場合寝ている間に深く進行してしまいます。深いヤケドは神経まで損傷を受けるので、痛みを感じず治療が遅れることがあります。
ヤケドの処置ですが、まず冷やすことが大切です。
蛇口やシャワーから直接流水を二〇~三〇分間かけてください。洋服の上からでもかまいません。冷やすことにより、ヤケドが周囲へ拡がるのと深く進行するのを防ぎます。感染を起こすと治りにくくなるので早めに治療を受けて下さい。一般的にキズを早く治すためには乾かさないようにすることが大切です。乾かしてしまうと、傷口から分泌される治癒を促す因子の働きと皮膚の再生とを妨げてしまうからです。軟膏などでキズを保護し湿潤環境を保つようにしてください。
【マリンクリニック 三橋 清】
急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など鼻に炎症のある方は、鼻汁が鼻の入り口で固まりやすいので鼻づまりや痒みが生じ、特に小児では気にしていじるため、傷ついて出血してしまいます。このような外的な刺激で起こる出血(指性出血)は、ちょうど指でいじる所にあるキーゼルバッハ部位より出血します。キーゼルバッハ部位は、鼻の左右を隔てる鼻中隔という軟骨の前下方にあり、密に血管が集合しており粘膜も薄いので血が出やすいのです。大人も含めて最も出血しやすい部位です。
鼻の前方からの出血はキーゼルバッハ部位が大部分を占めますので、出血した時はややうつむき加減にして、清潔な脱脂綿かガーゼをつめて両鼻翼(小鼻)をぎゅっと五~一〇分押さえれば大抵止まります。一方、鼻の穴から出ないでのどにまわる出血は、鼻腔後方からの場合が多く中高年者に多く、止血しづらいので重症化することもあります。血が止まらないときは、早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。
その他、高血圧、肝硬変、腎不全、糖尿病などの病気や、ワーファリンやアスピリン、インドメタシンなどの内服は血液を凝固させにくくするので鼻出血の要因となります。まれですが、小児では白血病、血小板減少性紫斑病などの血液疾患で鼻出血が初発症状となることがあり、注意が必要です。頻回な鼻出血や、なかなか止まりにくい場合は、血液検査が必要です。
【飯田耳鼻咽喉科クリニック 飯田 崇】