地域医療再生プログラムとは?

第5回 山武長生夷隅保健医療圏の
「地域医療再生計画」その1

?3次救急を担う救命救急センターがなく、
3人に1人の救急患者を圏外に運ばざるを得ない?

2011.12.07   文/桶谷仁志

 この連載では、「千葉県地域医療再生プログラム」を、わかりやすい図表を中心にして解説していきます。今回は、山武長生夷隅保健医療圏の医療再生の課題と解決策の方向性について見ていきましょう。

深刻な状況にある圏内の救急医療体制

 医師不足によって医療サービスの提供体制が破綻する「医療崩壊」と呼ばれる現象の中で、最も深刻な医療サービス分野が救急医療です。この救急医療に焦点を当て、課題解決のためのモデル地域として選ばれたのが山武長生夷隅保健医療圏です。

 山武長生夷隅保健医療圏は、下図で分かるように、千葉県の南東部に位置し、南北に細長い地域です。東側には九十九里浜が南北に延びています。圏内の面積は1161.33平方キロ、人口は47万2645人(平成20年4月1日現在)となっています。この面積は全県の22.5%を占めていますが、人口は全県の7.7%でしかなく、人口密度の低い地域であることが分かります。また、高齢化率(全人口に占める65歳以上の人の比率)は24.3%に達しています。これは前出の香取海匝保健医療圏よりは少しだけ低い数字ですが、全県の高齢化率19.1%に比べれば相当高く、高齢化が進んだ地域であることも分かります。

 圏内には5市11町1村の自治体があり、23の病院が立地していますが、そのうち6つが自治体病院となっています。下図の通り、北から東陽病院(横芝光町)、さんむ医療センター(旧・国保成東病院/山武市)、県立東金病院(東金市)、国保大網病院(大網白里町)、公立長生病院(茂原市)、いすみ医療センター(いすみ市)が立地し、この6病院で、圏内の許可病床数の25.8%、一般病床数の53.8%を占めています。

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