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生活習慣病にならないために

?特定健診って何??

2011. 9. 16   

生活習慣病とは何?
防ぐためにはどうすればいい?

 「最近、ちょっとお腹まわりが気になるけど、歳だから仕方ないかな」などと思っていませんか。生活習慣病は、食生活の偏り、運動不足、喫煙、大量の飲酒など、長年の生活習慣がもとで起こってくる病気です。代表的なものには、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、脂質異常症、肥満などがあります。内臓に脂肪がつくメタボリックシンドローム(いわゆるメタボ)は、生活習慣病にとてもなりやすくなった状態です。いまはまだ病気とまでいかなくても、放置すると10年後、20年後には重い障害で苦しんだり、命にかかわる病気へと進行していきます。

 しかし、生活習慣病は早めの対策で予防できます。あなたがちょっと気をつけるだけで、つらい病気を防げます。保険者が実施する「特定健康診査・特定保健指導(以下、特定健診・保健指導)」を上手に活用してメタボを解消し、生活習慣病を防ぎましょう。

メタボを放置すると、こんな危険が……

イラスト/マルタン フェノ

 「メタボリックシンドローム」という言葉は、最近よく話題になっています。でも、それが本当はどういう意味なのか、ご存じない方は多いかもしれません。
 メタボリックシンドロームは直訳すると代謝異常症候群ですが、今は内臓脂肪の問題に着目して、「内臓脂肪症候群」と呼ばれています。具体的には、内臓脂肪型の肥満に、高血糖、高血圧、脂質異常のうち2つ以上が起こっている状態のことをいいます。
 内臓脂肪からは、「生理活性物質」と呼ばれるさまざまな物質が分泌されています。お腹まわりに内臓脂肪がつきすぎると、その物質のバランスが崩れて、高血糖、高血圧、脂質異常になりやすくなります。また、動脈硬化が起こりやすくなり、脳卒中や心臓病になる危険が大きくなるのです。

肥満、高血糖、高血圧、高脂血症といった危険因子の数が増えると、心疾患(心臓病)の危険度が増大することを示したグラフ。危険因子がない人の危険度を「1」とすると、危険因子が1つの場合は5.1倍、2つで5.8倍、3?4個では危険度は35.8倍になる(厚生労働省のサイトより)

 下の図は、尼崎市のある職員の健康状態を毎年の健康診断から追いかけたものです。最初は肥満だけでも、年齢を重ねるにしたがい高血糖、高血圧、高脂血症などの危険因子が増えてきて、最後は脳梗塞や心筋梗塞という病気にまで進行しています。脳卒中や心臓病のような血管障害を起こす人の多くは、このような経過をたどっています。

54歳で脳梗塞を起こしたA氏と57歳で心筋梗塞を起こしたB氏の30代の頃からの健康状態の経過。最初は肥満だけでも、20年の間に危険因子が少しずつ増えて、病気にいたる(厚生労働省のサイト「新たな健診・保健指導と生活習慣病対策」より)
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 BMIって何?

BMIは、Body Mass Index(肥満指数)の略。肥満の程度を示す指標で、次の式で表されます。また、日本肥満学会が決めた判定基準では肥満度を以下の4つの段階に分けています。

BMI計算式
BMI 体重(kg)
 身長(m)×身長(m)
肥満度の判定基準(日本肥満学会2000)
  BMI
低体重(やせ) 18.5未満
普通体重 18.5以上 25未満
肥満(1度) 25以上 30未満
肥満(2度) 30以上 35未満
肥満(3度) 35以上 40未満
肥満(4度) 40以上

 脳卒中や心臓病は、命に関わる重大な病気です。また、糖尿病は重症化すると、失明や手足の壊死(腐れ落ちてしまう事)、腎臓の機能低下など、重い合併症に悩まされます。腎臓の機能が落ちてしまうと、人工腎臓による血液透析(いわゆる人工透析)をしなければ命が維持できなくなる状態の人もいます。そして、病気が進行すると働けなくなり、治療費の負担が大きくなるなど、経済的にも大変になるのです。

 そこで危険因子がいくつも増えてしまう前に、内臓脂肪を減らして病気の進行を止めることが大切です。自分のためにも家族やまわりの人のためにも、まだ元気なうちから気をつけて、生活習慣病を予防しましょう。
 そのために、まずは特定健診を受診するといいでしょう。

 特定健診では、今のあなたの身体の危険度を判定し、必要な場合にはアドバイスをしてくれます。次ページからは、その特定健診について詳しく紹介します。

 
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