2018.10.31
更年期障害とは
男女ともに40歳を過ぎた頃から見られるさまざまな体調不良や、情緒不安定などの症状をまとめて更年期障害と呼びます。更年期は正確な定義がなく、40~60歳の期間を指しています。女性の場合は、閉経期前後の約10年間に卵巣ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することによって症状が現れます。男性の場合は、睾丸ホルモンであるテストステロンの分泌が30歳以降に減少し始め、40歳代後半で症状が現れることがありますが、女性に比べて分泌量の変化が緩やかなため、老化現象の一部と認識され、気づかないことが多いといわれています。
自律神経失調症と同様の症状があらわれ、女性の閉経前における身体的症状として、のぼせや顔の火照り、脈が速くなる、動悸や息切れ、異常な発汗、血圧の上下、耳鳴り、頭痛やめまいなどがおこります。精神的な症状としては、興奮亢進、イライラや不安感、うつ、不眠などが起こります。閉経後は、これらに加えて、膀胱炎や尿失禁、腰やひざの関節痛、目やのどなどの粘膜の異常などの身体的症状と無気力などが現れます。エストロゲンの急激な減少により、高脂血症や高血圧、虚血性心疾患などの生活習慣病や、骨粗鬆症、脳梗塞、認知症などの疾患にかかるリスクも高くなります。
更年期の運動
更年期は、男性・女性ともに、加齢にともなう身体の変化のひとつとしてとらえ、更年期に入る前から、栄養バランスの整った食事と運動習慣で生活習慣を整えることが大切です。閉経前の女性のランニング程度の運動は、骨密度を維持向上させ、筋力の向上、血中脂質、骨機能への効果があります。さらに、運動を行うことで爽快感や達成感を味わうことができ、ストレスの発散やリラックス効果を得られ、睡眠リズムを整えます。
具体的には、歩く時に歩幅を大きくとって速歩きする、買い物や通勤、子どもや孫の送迎の際には歩行や自転車で移動する、仲間と一緒に体操やスポーツを行う、散歩や外出など外へ出て歩く機会をつくる、テレビを見ながら筋力トレーニングやストレッチを行うなどがおすすめです。
更年期障害の治療法
更年期障害の主な原因は、エストロゲンの減少にあるため、少なくなったホルモンを補う治療法が有効的です。エストロゲンとともに黄体ホルモンを投与し、月経があったことのホルモン状態に近づけます。子宮がない方にはエストロゲンのみの投与が選択されます。のぼせ、発汗やほてりなどの症状に効果があるとされています。エストロゲンの形状には個人差があるため、前述の方法が使用できない場合もあるため、その際には漢方療法などが行われます。
いずれ更年期にみられる症状は軽快していきますが、症状がひどい場合は、かかりつけ医に相談し、治療を受けてみるのも良いでしょう。