2017.06.05
川崎病とは
川崎病は1967年に小児科の川崎富作先生(現・日本川崎病研究センター理事長)が最初に報告した原因不明の病気です。全身の細い血管が炎症を起こし、高熱、体全身の発疹、両目の充血、真っ赤な唇といちごのようにブツブツな舌、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れの6つの症状が起こります。だいたい2~3週間ほどで改善されますが、まれに心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈の異常(冠動脈瘤など)が残ります。時間とともに回復することがほとんどですが、血管が狭くなったり、血栓ができて冠動脈が詰まることで、狭心症や心筋梗塞などが起こる危険性が高まります。そのため、冠動脈に異常がある場合は、血液を固まりにくくする薬を長期間飲み続ける必要があります。
●川崎病の症状
特徴的な6つの症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病(定型の川崎病)と診断されます。
しかし、5つ以下でも、他の病気ではないと判断された場合は「非定型の川崎病」とされています。特に長期間熱が続き、体全体に発疹が現れた場合には、すぐにかかりつけ医に受診しましょう。
- (1)長期間続く高熱
- (2)体全体に発疹があらわれる
- (3)両目が充血している
- (4)唇が真っ赤になり、舌がいちごのようにブツブツになる
- (5)手足が硬く腫れ、熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける
- (6)首のリンパ節が腫れて痛くなる
川崎病の原因・予防
川崎病は、日本人や東アジア系の人種に多く、1年間に約1万5千人が川崎病を発症しています。細菌やウイルスなどの感染、なんらかの環境物質による刺激などが原因としていわれていますが、いまだ特定されていません。また、親子、兄弟・姉妹で発症する可能性が高いことから、遺伝的要因が関与することも考えられています。
川崎病による二次感染の例はなく、基本的にはうつらないものと考えられています。予防法は特にないため、少しでも症状が見られる場合は、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
川崎病の治療法
冠動脈瘤にならないためには、できるだけ早く熱を下げ、血管の炎症を抑えることが大切です。
発症後は、約2週間~1ヶ月ほど入院し、点滴でガンマグロブリンを投与します。この薬は、全身の炎症を抑えて冠動脈瘤の発生を予防します。同時に、アスピリンなどの血液を固まりにくくする薬を内服します。
多くの人は2日ほどで熱が下がり、治療が有効だった場合は冠動脈瘤が発生することはありません。しかしガンマグロブリン投与後も高熱が続く場合は、ガンマグロブリンを再投与したりして、様子を見ながら追加の治療を行います。
退院後は、心臓の長期間の経過観察が必要ですので、かかりつけ医の指示通りに受診しましょう。また、冠動脈に異常がみられた場合は、退院後も心臓専門医による経過観察が必要です。アスピリンなどの薬を長期間続けなければならない場合もあります。自己判断で治療を中断してしまうと再発したり、突然、心筋梗塞を引き起こす可能性があるため、たとえ症状が無かったとしても、かかりつけ医の指示に従うことが重要です。