健康トピックス

2025.01.28

周囲の理解とサポートが鍵「統合失調症」

統合失調症とは

統合失調症は、考え、行動、感情などをまとめることが難しくなる病気です。10代後半から30代にかけて、発症することが多いといわれています。

原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的な要因や生活における大きなストレスなど、さまざまな要素が組み合わさって発症すると考えられています。

統合失調症の症状

症状は主に3つに分類することができます。

■陽性症状

実際には存在していないものを存在しているかのように感じる幻覚や、実際には起こっていないことを信じ込んでしまう妄想などで、統合失調症における代表的な症状です。

幻覚では「歩いている」とか「トイレに入った」など患者の行動に随伴するような幻聴が聞こえたり、幻聴同士が「(幻聴A)トイレに行きたかったんだね」「(幻聴B)だから急いで歩いてたんじゃないの」等と意見を述べたり交わしたりする対話性幻聴と呼ばれる幻覚が多いと言われています。

また妄想では「近所の人から観察されている」と訴える注察妄想や「テレビで話しているニュースは私の事を揶揄して言っているのだ」などと訴える被害関係妄想、「金を盗られた」などといった被害妄想が多いと言われています。現実に起こりうる内容のものもありますが、現実には起こりえない「宇宙人から命令されて相手を殴った」などと訴える荒唐無稽な妄想も少なくありません。

■陰性症状

感情表現が少なくなり、社会との関わりに意欲が失われます。他者からは怠けていると認識されることも少なくなく、陽性症状と比べて、周囲が正確に把握することが難しいとされています。

■認知機能障害

集中力や記憶力の低下などにより、間違いを繰り返したり、ものごとを適切に処理できなくなったりします。これにより社会活動に困難が生じるほか、自己評価が低くなることもあります。

症状や経過によって、3つのタイプに分類できますが、必ずいずれかに当てはまるというわけではありません。

・「妄想型」主に幻覚や妄想の症状が現れる

・「解体型」言動にまとまりがなくなり、陰性症状がみられる

・「緊張型」異常行動がみられる興奮状態と、意識の混濁という正反対の症状が現れる

下記の8つの症状は、シュナイダーの一級症状と呼ばれています。統合失調症の特徴的な症状とされ、発症の診断にも用いられます。

【考想化声】 自分が考えている内容が、幻聴となって聞こえてくる
【対話性幻聴】 実際には話しかけられていないのに、話声や自身の噂話をする声などが聞こえる
【批判性幻声】 実際には存在していない、自身の行動を批判する声が聞こえる
【身体的被影響体験】 頭に電流を流されているなど、体の異常な感覚の原因を他人の影響であると考える
【考想奪取】 自分の頭の中にあった考えが、誰かに抜き取られたと感じる
【考想伝播】 自分の頭の中の考えが、周囲や世間に伝わり、筒抜けになっていると感じる
【妄想知覚】 見えたり、聞こえたり、触れたりという「感覚」に対して、全く脈絡のない
妄想をしてしまう
【作為体験】 感情や意思、行動を他人に操作されていると感じる

統合失調症の治療

主に薬物療法と心理社会的療法(リハビリテーション)を行います。

薬物療法においては、自己判断による服薬の中断に注意が必要です。高い確率で再発し、再発を繰り返すほど回復が難しくなります。しかしながら統合失調症は、自身が病気である認識を持ちにくい病気でもあります。周囲のサポートのもとで、医師の指導に合わせた服薬を継続し、薬の副作用がみられる場合にも、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。

心理社会的治療では、通常の社会生活を送ることを目指します。病気や治療について正しい知識を身に付けたり、作業を通じて生活に必要なスキルを高めたりします。

症状の度合いにもよりますが、治療によっては症状の安定が見込める病気です。長期的な視点で、治療に向き合いましょう。

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