2024.02.29
ロタウイルス感染症の原因、感染経路
ロタウイルス感染症とは、ロタウイルスというウイルスによって引き起こされる急性胃腸炎のことです。生後6か月~2歳をピークに5歳頃までにほぼすべての子どもが感染するといわれています。毎年3月~5月に流行がみられていましたが、2020年頃から感染者は著しく減少しているようです。
主な感染経路は糞口感染で、感染者の便に含まれるロタウイルスが手指などを介して口に入ることにより感染します。感染者の便中には1グラムあたり1000億~1兆個もの多量のウイルスが含まれていると報告されています。ロタウイルスは感染力が非常に強く、10~100個程度のウイルスが口に入るだけで容易に感染します。なお、感染者の唾液や吐物の中にもウイルスが含まれているといわれており、唾液や吐物が口に入ることにより感染する可能性もあります。
ロタウイルス感染症の症状
2~4日の潜伏期間を経たのち、嘔吐と発熱が始まり、続いて水のような下痢(時に米のとぎ汁様)がみられるようになります。通常は1週間程度で回復します。しかし、頻回の嘔吐、激しい下痢により、脱水症をきたすことがあり、その場合は顔色が悪くなる、元気がなくなる、尿量が減るなどの症状がみられます。特に乳児で初めてロタウイルスに感染したときは症状が重いため、入院が必要になることもあります。
まれに、けいれん、腎不全、脳症、心筋炎などの合併症が起こることがあり、意識の低下やけいれんなどの症状がみられたら早めに医療機関を受診することが大切です。
ロタウイルス感染症の治療、予防
現時点では、ロタウイルスに対して効果のある薬はありません。そのため脱水にならないための水分補給や、体力を消耗しないための栄養補給などが治療の中心となります。脱水がひどい場合には、医療機関で点滴を行うなどの治療をしたり、入院が必要になることもあります。
感染の拡大を防ぐためにも、感染者の便や吐物を処理するときは使い捨てのゴム手袋などを使用し、オムツはポリ袋などに入れてほかの物につかないように捨てましょう。衣類に便や吐物がついてしまった場合には、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)でつけおき消毒し、他の衣類とは分けて洗濯するとよいでしょう。手洗いの徹底も大切です。ロタウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、流水とせっけんで30秒以上しっかりもみ洗いしてください。
しかしながら、以上のような取り組みを行っても、ロタウイルスは感染力が非常に強く、ひとたび流行すると感染の拡大を完全に防ぐことは難しいと考えられます。また、ロタウイルス感染症は初回感染時の症状がもっとも重く、2回目以降の感染は次第に症状が軽くなるといわれています。それゆえワクチンによる予防が大切です。わが国では2011~2012年にかけて2種類のロタウイルスワクチンが任意接種として認可されました。以降、ロタウイルスワクチンを接種することでロタウイルス感染症による入院患者を約7~9割減らすことが各地から報告され、2020年10月から定期接種化されています。生後2か月から、他のワクチンと同時に接種することが可能となっておりますが、詳細はお住まいの市町村の予防接種担当課あるいはお近くの医療機関にお問い合わせください。