健康トピックス

2018.10.10

多くの病気につながる「橋本病」

橋本病とは

橋本病は、正式には慢性甲状腺炎という病気です。甲状腺は首の前面にある小さい臓器で、蝶が羽を広げたように左右に大きく分かれています。橋本病は、「自己免疫」の異常が原因で、自己抗体が甲状腺を攻撃するために細胞が少しずつ減ることで慢性的な炎症が生じます。炎症の程度には個人差があり、のどの違和感や甲状腺の腫れを訴える場合もあれば、自覚症状がなくても甲状腺機能に異常を起こすこともあります。

橋本病による症状はさまざまで、そのうちの1つは意欲の低下です。無気力になり、忘れっぽくなったり、認知症の原因の1つにもなることもあります。さらには、寒気、皮膚の乾燥、体全体のむくみ、髪が抜けるなどの症状が表れることもあります。また、自覚症状がないまま心臓の働きが悪くなったり、肝臓の機能が低下するなど、新陳代謝の低下によって臓器にも影響が出てきます。ひどくなると血中コレステロールの濃度が上がり、動脈硬化を早め、心臓病や脳卒中などの重篤な病気につながる可能性があります。

橋本病の主な症状

橋本病にかかると、甲状腺ホルモンが足りないために、全身の新陳代謝が悪くなり、以下のようなさまざまな症状が現れる場合があります。

・全身症状
寒気、疲労感・倦怠感、動作の鈍り、体重増加、声枯れ、低音
・体温
低体温
・顔つき・首
むくみ、のどの違和感、ボーッとしたような顔
・神経・精神症状
物忘れ、無気力、眠気、ボーッとしている
・循環器症状
徐脈、息切れ、むくみ
・消化器症状
食欲低下、舌が肥大、便秘
・皮膚
汗がでない、皮膚乾燥、脱毛、眉が薄くなる、皮膚の蒼白
・筋骨症状
脱力感、筋力低下、肩こり、筋肉の疲れ
・月経
月経不順、月経過多
・血液値
コレステロール上昇、肝障害、貧血

治療法と注意点

橋本病は、症状や甲状腺機能の状態によって治療法が異なります。甲状腺機能が正常値であれば薬は必要ありません。甲状腺腫がかなり大きい場合は、甲状腺ホルモン剤を服用すると腫れを小さくする事ができます。甲状腺機能低下症の場合は、不足している量の甲状腺ホルモンを服用し、薬の効果があれば、薬を服用しながら日常生活を送ることができます。しかし、海藻類に多く含まれるヨウ素が甲状腺に影響をあたえる可能性があるため、海藻の食べる場合には注意が必要です。ヨウ素の含有量は海藻の種類によってかなり違いますが、通常の摂取では問題ありません。海藻サラダなどは、時に甲状腺機能亢進症になってしまうことがあるため注意しましょう。

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