健康トピックス

2017.04.07

耳の病気「中耳炎」

中耳炎とは

耳の構造は、奥から「内耳」「中耳」「外耳」の3つに分かれています。中耳炎は、中耳にある耳の空気が通る管「耳管」に細菌やウイルスが侵入し、炎症を起こしている状態です。悪化すると、患部が腫れ、耳管に空気が通るたびに圧力によって鼓膜が押されるため、激痛を感じます。痛みは1~3日ほど続き、その後、ゆっくりと膿が抜けていき、腫れがおさまっていきます。膿がたまると鼓膜に穴が開き、自然に膿が出てくることがあり、これを「耳だれ」と言います。

子どもは大人に比べて抵抗力が弱いため、特に中耳炎にかかりやすく、生後半年~1歳、2歳までがピークで、5歳頃まで非常に多いです。5歳を過ぎれば抵抗力がつくため、中耳炎も減っていきます。しかし、大人は、子どもよりも中耳が大きいため、子どもより症状が重くなりやすい傾向があります。

中耳炎の種類

中耳炎には種類があり、主に「急性中耳炎」と「滲出性中耳炎」が代表的です。悪化すると、「慢性中耳炎」や「癒着性中耳炎」、「真珠腫性中耳炎」といった症状の重い中耳炎に発展することがあります。

●主な中耳炎

急性中耳炎 原因 インフルエンザ菌や肺炎球菌などの細菌が中耳に侵入し、炎症を起こした状態です。まれに、ウイルスやかびなどが原因になることもあります。
また、ごく少数ですが、気圧の急激な変化や高い水圧を受けた場合に、中耳炎が起こる場合もあります。
症状 耳の痛みや耳だれ、発熱などの症状が起こり、耳がつまっているような感覚があります。
滲出性中耳炎 原因 中耳に「滲出液」と呼ばれる体液がたまった状態です。
鼓膜や粘膜の腫れや副鼻腔炎などによって耳管開口部が狭くなり、耳管の通りが悪くなることで、耳管の働きが悪くなります。また、加齢によって耳管の働きが衰えることもあります。耳管の働きが悪くなると、中耳の圧力が低くなり滲出液が鼓室にたまることで引き起こります。
症状 基本的に、耳の痛みや耳だれなどの症状はありませんが、耳がつまっているような感覚が長く残ります。軽い症状であれば1ヶ月ほどで治りますが、数年かかることもあります。
慢性中耳炎 原因 急性中耳炎や滲出性中耳炎が治らず、炎症が慢性化した状態です。
体の抵抗力の低下や、鼻やのどに慢性的に炎症がある、中耳の発達が悪いなど、原因はさまざまです。
症状 鼓膜に穴が開いた状態が続くため、周囲の音を十分に聞き取ることができず、聴力が低下し、頻繁に耳だれが起こります。また、炎症部位を線維組織が覆った「肉芽(にくげ)」ができることがあり、この中で細菌が生き続けた場合も、耳だれの症状が現れます。

●その他の中耳炎

・ 癒着性中耳炎
鼓膜が中耳の壁とくっついてしまった状態です。中耳の空間がなくなるため、聴力が低下し、ひんぱんに耳だれや耳の痛みが起こります。さらに耳鳴りやめまい、頭痛なども併発します。
・ 真珠腫性中耳炎
鼓膜の細胞が中耳に入り込み、増殖して塊となる「真珠腫」ができた状態です。聴力が低下し、耳だれや耳の痛み、耳鳴り、めまい、頭痛などの症状が起こります。症状が悪化すると、顔面神経麻痺の症状が出る場合もあります。放置していると、耳小骨が溶けて重い難聴やめまいにつながる恐れがあるため、手術で除去する必要があります。

治療・予防

中耳炎になった場合は、早期に治療することが重要です。鼓膜の内側に膿が溜まり続け、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に発展してしまう可能性があります。滲出性中耳炎は、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎とも関係があるため、耳だけの治療ではほとんどの場合が不十分です。

抗生物質が効かず、鼓膜の腫れがひどい時や激しい痛み、高熱、頭痛がある場合は、鼓膜を切開して中耳から膿を出す場合もあります。

痛みがなくなるだけでは完治しているとは言えません。中途半端な治療のまま放置すると、内側に膿が残り、耐性菌という薬では治らない細菌を増やしてしまい、その後の治療が難しくなるため、完治するまで通院することが大切です。

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