健康トピックス

健康豆辞典

乳がん検診

乳がん検診について

平成15年夏頃より、乳がん検診についての話題がたびたび新聞やテレビにて報道されました。その内容の多くは、現在の日本における乳がん検診制度の問題点を指摘し、見直しを図るよう求めるものでした。多くの人に乳がん検診を知って頂くためには良い効果があったと思いますが、根本的原因を解決する議論はなされておらず、一般女性の一時的な不安をあおっただけであった感は否めませんでした。そこでこの話題となっている乳がん検診の現状について考えてみたいと思います。

乳がん検診の現状

我が国における乳がん検診は、1987年の第2次老人保健事業により、全国で35歳以上の女性を対象として、外科医と産婦人科医が中心となって、問診と視触診による方法で施行されるようになりました。しかし1998年、この検診法の有用性が認められないとの評価により適正化が検討されました。その後マンモグラフィ導入の必要性が示され、研究班の検討結果より、厚生労働省は2000年4月、準備が整った自治体から乳がん検診へマンモグラフィを導入することを推奨し、現在に至っております。しかし乳がん検診の方法は各自治体に任されているため、自治体毎にその予算や方法は異なり、すでにMMGを併用し安定しているところ、とりあえず併用開始したところ、超音波併用検診を始めたところ、いまだ視触診のみのところと様々であり、また検診を行う医師の資格についてもまちまちで、まだまだ改善の必要があるというのが我が国の現状です。これは自治体の検診だけでなく職場健診や主婦健診の乳がん検診においても同じことがいえます。つまり日本の乳がん検診はまだまだ発展途上にあるのです。

乳がん検診の功罪

米国では、乳がんの罹患率(乳がんになる方の割合)は増加しているものの、死亡率(乳がんで亡くなる方の割合)は徐々に減少してきています。これは、マンモグラフィによる乳がん検診の普及と一般女性に対する啓発活動の結果、乳がんが早期に発見されるようになったためです。しかし残念ながら日本ではまだ、乳がんの罹患率と死亡率はともに増加し続けており、早急なる対策、検診の質の向上と啓発活動の推進、が必要です。

また進行乳がんとなってしまって病院を訪れた患者さんでは、かつて検診や乳腺専門ではない医師の診察を受け、異常なしといわれた方が多いというデータがあります。つまり、やり方によっては、検診がかえって進行乳がんをつくってしまう場合もあるのです。一度異常なしとされると安心してしまい、しこりを感じても受診が遅れてしまいやすいようです。1回の検診で異常なしでも、一生だいじょうぶということではありません。1~2年に1回は検診をお受けください。

乳がん診療の問題点

質の高い乳がん検診を行うことで、乳がんは早期に発見され、乳がん死亡率の減少も期待できるわけですが、ただ、検査をやればいいということではありません。マンモグラフィでも超音波検査であってもクリアすべき3つの条件があります。それは、検査に使用する機種が適正であること、扱う技師が習熟していること、最終的に判断する医師の読影能力が充分であること、です。3つのうちどれが欠けても、質の高い検診はできません。また、一次検診でいくら質高く拾い上げても、精密検査指定医療機関の担当医師が乳腺専門医でなければ、正確な診断、適切な治療には至りません。

しかしわが国では、マンモグラフィの普及率は極めて低く、技師や医師が知識と技術を習得するための講習会もまだ不十分であり、受講したいと希望しても受けられないのが現状で、質の高い乳がん検診をするための受け皿が不足しております。また、乳腺疾患診療の専門医がどこの病院にいるのか、そしてどれくらいの経験があるのかを知る情報も乏しく、乳がんを疑われてもどこへ行けば正しい診断が得られるのか、世界水準の治療を受けられる施設がどこなのかが見いだせない状態です。最近、国や地方自治体も少しずつ前向きになってきており、また、日本乳癌学会の「乳腺専門医」制度が厚生労働省より認可されましたので、徐々に改善が図られると思いますが、質の高い乳がん検診およびその診断と治療を行うためには、このあたりの整備が急務であると思われます。

乳がん検診の意味

検診の受け方も少し考えてみる必要があると思います。自分で乳房にしこりを自覚していたのに、乳がん検診を受診する方がいらっしゃいますが、これは間違いです。検診はあくまでも、異常のない方の中から、簡便な検査により、異常のある可能性の高い人をふるい分ける(スクリーニングといいます)ことが、その役割です。検診は診断をつける場ではありませんので、異常を感じた場合は、乳腺外来を受診し、精密検査、診断をお受けください。

反対に、異常がないからと受けない方もいらっしゃいますが、これも誤りです。乳がんは明らかな症状なく発症することが多いのですから。

検診の意味を理解して、乳がんから身を守りましょう。

乳がんから身を守るためには

乳がんは、早期で発見し、適切な治療を施すことにより、90%の方を救命できます。また早期発見は、乳房温存治療の可能性も高めます。つまり、早くみつければ、乳がんで命を落とすことも、乳房を失うこともないのです。

そのためには、定期的に乳がん検診(年1回)を受け、自己検診(月1回)を行いましょう。そしてもし検診で、精密検査が必要とされた場合や、自分で乳房に異常を感じた場合は、早めに乳腺専門医(乳腺外来)を受診しましょう。

千葉県医師会健康教育委員会 文責 同委員・長瀬慈村

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