健康トピックス

健康管理

食事

ふぐ中毒について

冬の味覚の王者はなんといってもフグにとどめをさすだろう。しかし、このフグも昔から「ふぐは食いたし命は惜しし」ということわざとか、「あら何ともなやきのふは過てふくと汁」という芭蕉の句にもみられるように、場合によっては命にかかわる事故につながりかねない宿命的な側面をもっている。

フグと一言でいわれているが、適切な処理により食用になるものだけでも10数種類、その他のものも入れると50種類もいる。代表的なものとして、フグの王者といわれるトラフグ、飼取り上手で釣り上げたときにぷっと膨れるクサフグはおなじみだろう。フグの毒はテトロドトキシンと呼ばれる強力な麻痺(まひ)毒だが、全部煮て食べても問題のないサバフグから、身以外(皮、肝臓、卵巣、精巣など)はどこを食べても危険なクサフグまで、毒量が種類によって全く違う。また、やっかいなことに潜んでいる海域の食物の差や、季節による毒量の変動も激しく、一匹で数十人を殺せる毒量を持ったり、ほとんど全部食べられる程、無毒化したりする。そのために今ではフグを輸入する場合にはフグの種類と、とれた海域が分からなければ輸入できなくなっている。

珍味といわれるトラフグの肝臓(千葉県では営業として食べさせることは禁止されている)は毒は強いが、食通といわれる方が前回一切れ食べてなんともなかったので次は二切れ食べ、何回目かにフグ中毒で亡くなったという話はご存じのことと思う。

中毒の一般的な症状は早い場合は摂取後2~30分で口唇、舌端がしびれ、しだいに四肢末端に広がり、神経、筋肉の麻痺症状が現れ、重症例では呼吸麻痺により死亡するという経過をとる。残念ながら昨今でも死亡例がみられ、厚生省の統計によると、昭和51年から平成6年までの全国の食中毒死亡者数279人中、フグ中毒死亡者数は160人(約57%)を占めており、フグ中毒死をなくせば、食中毒による死亡は半減することになる。平成7年にも八丈島の近海で釣ったフグを自宅でみそ汁などにして食べ、死亡した例も報告されている。

千葉県では、昭和50年から「フグ調理師試験制度」を設け、フグ中毒の防止に努めている。試験内容は、フグおよび衛生知識に関する筆記試験、実物を使ってのフグの種類鑑別、フグの処理の実技(除毒を目的)を行い、この三つの試験に合格して初めて「フグ調理師」の資格を得ることができる。また、このほかにフグを調理し、他人に提供するためには「食品営業許可」のほかに「フグ営業認証」を受けなければならないほど、二重三重の事故防止対策を講じている。

季節の珍味、美味を心いくまで安心して堪能してもらうためには、素人調理による摂取は絶対にやめ、多少懐には響くかもしれないが、前述の条件をクリアしているお店を利用するようお願いします。

木更津保健所 小倉敬一

前のページに戻る
公益社団法人 千葉県医師会 CHIBA MEDICAL ASSOCIATION みんなで高めるいのちの価値 ~健康と福祉のかなめ~
〒260-0026千葉県千葉市中央区千葉港4-1
TEL 043-242-4271
FAX 043-246-3142