健康トピックス

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食事

外食と健康

最近の半世紀にわが国の平均寿命は大幅に伸びてきました。これは乳幼児の死亡率の低下もさることながら、高齢者が長生きするようになったことも大きく影響しています。「人生わずか50年」と言われたものが、われわれが日ごろ診療していますと、60歳代の方には「まだお若いのに、これからですよ」とごく自然に言っていることに気がつきます。今では50、60はようやく人生を折り返したところ、人生を楽しむためのラストスパートをかける時期でもあると思います。

人生の快楽のうちで食の楽しみは、王者とも言えるもので、古来、文人、学者、芸術家、王侯貴族に食通や大食漢が多々おり、その膨大な記録が残されているのも、人が「食卓の快楽」にいかに情熱を傾けてきたか分かろうというものです。最近テレビでもいわゆるグルメ番組がよく放映され、われわれ名もなき庶民もその余慶にあずかるありがたいご時勢とはなりましたが往時と異なり高齢者の増加した現代では快楽としての食の傍ら成人病の増加に目を向けねばならぬ時代となりました。

成人病には悪性腫瘍(しゅよう)や循環器・内分泌・代謝障害など、病名をあげればきりがありませんが、高血圧、高脂血症、動脈硬化に起因する諸病、肥満、糖尿病などがよくお目にかかる疾患です。これらの疾患と食物との関係は深く、食物の取り方が成人病の発生に大きく影響することは、今や常識となっています。

既にご承知の通り、バランスのとれた栄養と適正なエネルギー、規則正しい食事をすることがそれの予防となると言うわけですが、これではお役所の文章みたいで具体的には何も分かりません。要するに、前述の各成人病の予防として食生活に関し共通して言えることは、①エネルギー・動物性脂肪・食塩の取りすぎに注意②ビタミン・ミネラル・食物繊維を十分に取るように、と大体このようなことであると思われます。

さて、今まで述べたことを基に外食について考えてみます。いささか古い資料ですが、今から10年前の厚生省国民栄養調査によると国民全体の1日食事構成割合は、家庭食80%、外食17%、昼食での外食は42%とのことです。10年前でこの状況ですから、現在はもっと外食依存の比重は高くなっていると思われます。と言うことは、外食は今やたまたまの贅沢(ぜいたく)ではなく通常の食生活の一環と考えざるを得ず、前述の注意は外食といえども例外ではないのです。ただし、外食では客が献立を選ぶことはできても調理に注文はつけられません。また職場での給食では献立すら選べない不便さがあります。選べる場合にはご自分の健康状態によって選びましょう。

最近は食嗜(し)好も欧米化し、外食ではタンパク質、動物性脂肪偏重となりがちです。一品はそれとバランスの取れる食物を選んでください。選べる場合でも選べない時でも現代飽食の時代では栄養不足になることはまずありません。どちらかと言えば栄養の取りすぎが問題なのです。ですからやむを得ない場合は、もったいない話ではありますが全部食べてしまわないで、残すようにするのも一法と考えます。古来から「腹八分目に医者いらず」と申します。

医療法人社団市川クリニック 田島知行

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