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このたび編集者より、小生に標題の執筆のご依頼がありました。しかしながら、小生には酒を欠くことが難しい以上に、文章を書くことは更に難しいのです。それで丁重にお断り申し上げたところ、「酒と健康について、あなたほど適任者はいない」と重ねて皮肉なご依頼です。まア、考えてみれば、この機会に自分の酒と健康についてよく反省をせよ、との天の声とも思えます。以下に駄文をしたため、皆様のご失笑をいただく所存です。

さて、10月1日は「酒の日」とのことです。小生は毎日が酒の日と心得ておりましたので、これは如何(いか)にと調べましたところ、昭和52年に全国酒造組合中央会なる組織が、若者の日本酒離れをくい止めるために、この日を定めたそうです。

「飲むべきは酒、持つべきは友」と申します。酒造業界では若者の酒離れを憂いておりましたが、小生の業界(精神医療)では、若者の「友達離れ」もしくは「真の人間関係を回避する」若者の存在が問題となっております。最近の若者たちは、堅い殻の中で脆弱(ぜいじゃく)な神経が傷つかぬように、臆病な交流しか持たないように思えるのです。それでいて、些細(ささい)な事柄に過剰なこだわりを持つ(いわゆるオタク族)のです。どうも小生が謳(おう)歌した青春時代の友人関係とは隔絶の感があります。

ちなみに小生は多くの友人に恵まれました。なかでもH氏とI氏の存在は格別でありました。両氏はともに外科医であり、豪放磊落(らいらく)・天衣無縫(むほう)という言葉とおりの性格でした。世が世であれば、英雄・豪傑になったことは間違いありません。そして2人とも並々ならぬ酒豪であり、いったん酒が入れば、話題は豊富、内容は気宇(きう)壮大でありました。

惜しくも、両氏はこの数年の間に鬼界に入られました。もう彼らと酒を汲(く)み、話を交わせないことは、小生にとって誠に残念であります。

もともと酒は薬として造られたといいます。酒は多くの人々の苦しみや痛みを癒(いや)してきました。とくに友と酌み交わす酒は、ストレス解消にはもっとも適した精神安定剤といえます。そのためには、適切に飲酒され(週2日の「休肝日」が必要です)、真の交流を友と深めていただきたい。されば、明日への英気を養う薬として、「百薬の長」の名に恥じない働きを酒はしてくれるでありましょう。

磯ヶ谷病院 木村泰人

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