医療現場からの提言

2018年

vol.08 背筋を伸ばし日光浴を

気分の落ち込みを解消する方法は

渡邉:

「気分の落ち込みがあり、物事を楽しめなくなった」とき、いつ頃からか、どんなきっかけがあったかを説明できますか?心当たりがなかったり、悩み事が解決しているにもかかわらず、落ち込みが2~4週間以上も続くときは、医療の助けが必要かもしれません。そのままにせず、なるべく早く、かかりつけ医や精神科・心療内科の専門医療機関への受診をお勧めします。

日常生活の中で解消する方法はありますか

渡邉:

しかし、気分の落ち込みがあっても、仕事・家事・育児などの生活活動を何とか支障なく行える程度の軽症うつの場合は、医療機関での治療に加えて、ご自身でも、気分の沈みを持ち上げる簡単な工夫を試みても良いでしょう。今回は、だれでも簡単にできる二つの方法をご紹介します。一つ目は“日光浴”、二つ目は“背筋を伸ばす姿勢”です。

日光浴はどれくらいすればいいのですか

渡邉:

日光に当たると、うつ病で崩れがちな睡眠-活動リズムの回復につながることが知られています。とくに午前中に40分以上のお日様(曇り空でも構いません)に当たることを、私はお勧めしています。うつ症状があると、昼でも暗くして部屋に閉じこもりがちになり、ますます症状固定の悪循環に入ってしまいます。その悪循環を断ち切るのに日光は大変有効です。

姿勢を伸ばすことも効果があるのですね

渡邉:

姿勢とうつの関係については、近年ドイツやニュージーランドで精力的に研究されています。「背筋を伸ばす姿勢をすると、前かがみ姿勢に比べて、より心地よい気分を生じ、より肯定的に物事を考えられるようになる」とわかってきました。
『手のひらを太陽に』や『上を向いて歩こう』などのすばらしい命の讃歌は、精神医学的な観点でみても、悲しみと喪失に耐え、傷つきながらもささやかな暮らしを精一杯守ろうとする人の“生きる力”を歌っているのかもしれませんね。

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