医療現場からの提言

2015年

vol.12 老化で起こる循環器疾患

循環器の機能について、詳しいことを教えてください。

海村:

循環器とは全身に血液を供給するシステムで、これを担っているのは心臓と血管です。心臓は生まれてから死ぬまで、休みなく収縮と拡張を繰り返し、そのポンプ作用によって血液を全身の血管に送り出しています。成人では、心臓は1分間に60~80回程度の規則正しいリズムで収縮しています。

高齢化とともに起こりやすくなる循環器の病気には、どんなものがありますか。

海村:

年をとると、心筋細胞が減少し、間質の線維化が進み、運動負荷への対応力が失われてきます。また大動脈弁や僧帽弁輪(弁の付着部位)の石灰化が起こってくるのも特徴です。心臓の収縮・弛緩を調節している刺激伝導系も衰えてきます。このため、心不全、弁膜症、不整脈等の心臓疾患が起こりやすくなります。

血管の動脈硬化も心配です。

海村:

「A man is as old as his arteries(人は血管とともに老いる)」というアメリカの内科医ウイリアム・オスラーの名言があります。年をとると血管は弾力性がなくなって動脈硬化を起こし、血圧は上昇し、内腔が閉塞しやすくなります。
どこの血管が硬くなるかによって、病名は異なります。脳卒中、狭心症、心筋梗塞、腎硬化症等が挙げられます。

医療費や介護費の増加も問題になっているそうですね。

海村:

70歳以上では、脳卒中、高血圧症、心疾患を合わせた循環器3疾患に要する医療費は、がんの3倍以上となっています。要介護状態になる原因も脳卒中が第1位です。医療や介護に必要な社会保障費の増加が大問題となります。

日頃から心掛けるべき注意点や予防策は?

海村:

循環器疾患の予防は、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満、高尿酸血症等の危険因子の適切な管理です。今後、若年から老年期にかけてのすべての年代において、生活習慣やライフスタイルの改善についての啓発がますます重要となります。

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