医療現場からの提言

2015年

vol.09 適度な運動で突然死予防を

40代の知人が突然死しました。突然死にはさまざまな原因があるようですが、運動中に死亡するケースも少なくないそうですね。

宍倉:

健康のために行う市民スポーツですが、やり方を間違えるとかえって健康を損なうことになり、場合によっては突然死することもあるため、注意が必要です。

運動のやり過ぎは健康に悪いと聞きましたが、具体的に教えてください。

宍倉:

最近は健康ブームに乗って、スポーツを楽しむ方が増えています。総務省が行った最新の社会生活基本調査の結果によると、10歳以上の日本人が過去1年間に行ったスポーツで、一番人数の多かった種目は『ウオーキング』(総人口の35%)です。そして、さらに運動量が多いジョギングやマラソンは、総人口の9.6%の方が行っていると答えています。適度な運動は心肺機能を向上させ、筋力増強や骨量の維持につながるだけではなく、免疫力や認知機能などの心身に大切な諸機能にも良い影響を与えます。しかし、過度の運動は、それらのメリットが打ち消されてしまうだけでなく、突然死など、かえって健康を損ねる結果になってしまいます。

運動と寿命との因果関係を示す研究データもあるそうですね。

宍倉:

アメリカの男女約5万3000 人を平均15年間追跡調査した結果、定期的に走っている人は、走らない人より、総死亡リスクが 19%低いことが分かりました。しかし、走りすぎの人には、そのメリットが無いことも分かっています。ランニングする際に死亡リスクを低減し寿命を延ばすためには、次の3つの条件を満たすことが必要であることもわかりました。①走行距離が1週間に32キロを超えない②走る速度が時速 8~11.2 キロの間(1キロを5.4~7.5 分で走行)③走る回数が1週間に 2~5 回以内。この条件を超えて走ると、寿命を延ばす効果はなくなると、この研究者は言っています。

特に、マラソン中の突然死が増えているとか。

宍倉:

マラソン中の心肺停止も急増しています。日本国内で行われるマラソン中に、心筋梗塞(こうそく)や不整脈などで心肺停止になったランナーは近年急増しており、1990年からの5年間では、マラソン中に8人の心肺停止者が発生しました。さらに2005年からの5年間では、56人と7倍にも増加しています。
「高齢化でお年寄りのランナーが増えたから?」と考える方もいるかもしれませんが、マラソン中の心肺停止発生を年齢別でみると、50代が29%と最も多く、次いで40代、その次は20代と、決して高齢化のせいではありません。

運動する上で、心掛けるべきことは?

宍倉:

突然死には至らないまでも、無理な運動は体にかなりの負担を与えます。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という言葉もあります。トップアスリートの健康寿命は、一般の人と比べて長いものではありません。体と相談しながら適度な運動を心掛けましょう。

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